×

アレッポ市民「ここで生きていくしかない」

2017年3月2日 0:09
アレッポ市民「ここで生きていくしかない」

 中東・シリアで内戦が始まってから、今月でまる6年となる。過激派組織「イスラム国」などさまざまな勢力が入り乱れ、戦闘がいまだ続いている。こうした中、最大の激戦地である北部のアレッポに私たちの取材班が入った。天野英明記者が現地から中継で伝える。

     ◇

 私が今いるのはアレッポ東部。アレッポは2か月あまり前、政権側が全域を制圧したが、この通り戦闘で破壊されたがれきの山が果てしなく広がっている。原形をとどめた建物はない。私も中東でさまざまな紛争地域を取材したが、ここまで徹底的に破壊しつくされた街を見るのは初めてだ。

 市民生活については、インフラが壊滅的なダメージを受けていて、何といっても深刻なのが生活に欠かせない水や電力の不足だ。これは「イスラム国」が施設を破壊したためで、市内のあちこちで給水タンクや発電機を見かける。

 また、食料は首都ダマスカスから運ばれているとのことだが、安全なルートは1つしかなく、治安状況次第では途絶えてしまう恐れもある。

 ただ、こうした中でも市民が口々に「ここで生きていくしかない」と語っていたことが印象的だった。

 アレッポ市民「元通りにしたい。辛(つら)い時もあったが、人生を歩き続けなくてはならない」

 戦争という人災により全てを破壊されたこの街の市民は、日々生きるのがやっとの状況で、本当に先の見えない不安と闘い続けている。