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マレーシア人拘束、化学物質押収~現地報道

2017年2月24日 12:40

 北朝鮮の金正男氏が殺害された事件で、マレーシアの警察は正男氏の遺体から猛毒の神経剤「VX」の痕跡が検出されたと発表した。遺体が安置されているマレーシア・クアラルンプールの病院前から森鮎子記者が伝える。

 これまで正男氏の殺害に使われた毒物はわかっておらず、様々な臆測を呼んでいた。そうした中で24日、マレーシアの警察は暫定的な報告としながらも、猛毒の神経剤「VX」が検出されたと発表した。事件発生から10日以上たち、初めて毒物が特定された形。

 発表によると、検査の結果、正男氏の目の粘膜と顔から「VX」が検出されたとしている。かつて日本でオウム真理教が毒ガスとして使用したことでも知られるが、VXは常温では液体で粘着性を持っている。実行犯の女は正男氏を襲う際に「軟こうか乳液のようなものを渡された」と話していると報じられていたが、こうした供述とも一致することになる。

 一方地元メディアは、警察がマレーシア人の30代の男を拘束して、22日、クアラルンプール市内のアパートから様々な化学物質などを押収したと報じている。この男はすでに逮捕された容疑者の供述から浮かび上がったとみられているが、男の事件での役割はわかっていない。関係者は「化学の専門知識がある可能性を排除しない」と話しているという。

 今回、毒物が特定されたことで、マレーシア警察にとっては正男氏事件の解明につながる大きな手がかりを得たといえる。