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チョコで母国農家支援 マリベル社長の思い

2017年2月10日 15:11
チョコで母国農家支援 マリベル社長の思い

 アメリカでチョコレート店をオープンし、成功した1人の女性がいる。彼女はいま、カカオ豆の産地・ホンジュラスの貧しい農家の支援に乗り出している。そこにはどんな思いがあるのか。

 東京・銀座に去年オープンしたチョコの専門店「カカオマーケット by マリベル銀座」。有名俳優や映画監督も訪れるというニューヨークの人気店「マリベル」の姉妹ブランドで、直輸入したチョコが並んでいる。

 競争の激しい東京のバレンタイン商戦に初めて挑む同店は、チョコの原料であるカカオ豆にあるこだわりがあるという。

 取材当日は、アメリカから来日したマリベル・リーバマン社長自らが店頭でホットチョコレートを作り、PRしていた。

 ホットチョコを初めて試飲した人からは「とってもおいしいですね。甘すぎず、ビターな感じが飲みやすいと思います」「やわらかい感じがします。飲みやすいと思います」といった声が聞かれた。

 マリベルさん「(原料となるカカオ豆の)農園からこだわってチョコを作っています。豆作りから、こうした製品になるまで全てに関わっています」

 品質の良いカカオ豆を仕入れるため、4年前から農園に足を運んでいるというマリベルさん。実は、農園に目を向けるのにはもう一つ理由があった。

 マリベルさん「(カカオ豆の産地)ホンジュラスの農家は貧しいのです。(カカオ豆の輸入は複数の業者を通すので)農家が受け取る額はとても少ない。仲介をなくして、農家にもっとお金を渡したいのです」

 NNNは、マリベルさんが先月、ホンジュラスを訪れるのに同行した。

 向かったのはカカオの木が育てられている険しい山の中。

 マリベルさん「ジャングルみたいでしょう。このカカオが、はるばるニューヨークにやってきて、日本にも届けられます」

 急な斜面を登っていくと、木の枝についた大きな実が。これがカカオで、この果肉に包まれた豆を発酵・乾燥させたものがチョコレートの原料になる。

 実はマリベルさんはホンジュラス出身。国民の6割以上が貧困に陥っているとされるホンジュラスの中でも特に貧しい農家を支援しようと、カカオ豆を仕入れる際に卸売業者を通さず、一般の市場よりも10%以上高い価格で購入している。

 翌日、マリベルさんが向かったのは、山のふもとにある施設。そこには、多くの女性たちが待っていた。

 マリベルさん「世界で通用するチョコを作るために、カカオの品質を上げる方法を学ばなければなりません」

 ここで行われたのは、品質の高いカカオ豆の育て方や加工技術を教えるセミナー。マリベルさんは、シングルマザーなど、経済的に苦しい立場にある女性たちが知識や技術を身につけ、少しでも豊かな生活が送れるよう指導もしている。

 マリベルさんに憧れ、チョコ作りをはじめた人もいた。

 セミナー参加者「気候の関係で、チョコが少しやわらかくなるんです」

 マリベルさん「少しカカオバターを入れたほうがいいわね」

 セミナー参加者「入れているんですけど、うまくいかなくて…」

 マリベルさん「難しいんです。試行錯誤しないと」

 10代で単身アメリカに移住し、ゼロからのスタートでショコラティエになったマリベルさん。15年前、ニューヨークに自身の名を冠した店「マリベル」をオープンさせ、試行錯誤しながら人々を引きつけるチョコを送り出してきた。今では日本や中東のドバイでも店を出すなど急成長させた。

 マリベルさん「私の夢は、カカオ農家に適正な対価が支払われることです」

 海を越えて店頭に並ぶチョコには母国の農家を支援したいというマリベルさんの思いが込められている。