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「継続して」の声に…今も震災の展示続く

2016年12月30日 10:52
「継続して」の声に…今も震災の展示続く

 シリーズ“記憶”をつなぐ小さな展示館。日テレNEWS24では、戦争、震災などの記憶を風化させない取り組みをシリーズで紹介する。

 震災の記憶を伝える福島県いわき市小名浜港の小さな展示場。当初、半年だけの予定だった展示が今も続いているのには、ある理由があった。

 「いわき・ら・ら・ミュウ」大邨賢次さん「アンケートを実施していますが、その中で、ぜひ継続してもらいたい、常設してもらいたいという要望が非常に多かったので、何回か延長を続けまして、現在に至っております」

 平成25年2月から開かれている「3.11 いわきの東日本大震災展」。いわき市の小名浜港にある観光施設「いわき・ら・ら・ミュウ」の一角にそれはある。当初、展示は半年の予定だったが、「残してほしい」「継続して」といった声に応え、今も続いている。

 大邨さん「逆に5年過ぎて、ということで、風化させないため残してくれと、アンケートの回答はここのところ多くなっています」

 コンセプトは「忘れたいこと、忘れられないこと、忘れてはいけないこと」。展示品の中にある「塩むすび」は、当時、避難所で配られた塩だけのおにぎりが再現されている。震災直後、いわき市内の体育館に設けられた避難所も、関係者や被災者の話をもとに再現。薄い段ボールで仕切られているのがわかる。

 大邨さん「写真のみの展示ではなく、津波の高さがわかる展示とか、段ボールで囲った避難所なんかを再現したり、立体的な展示をやってます」

 最大震度6弱を観測した福島県いわき市。こちらの施設も、人的被害はなかったものの、2メートルを超える津波の被害で、8か月の間、閉鎖を余儀なくされた。

 大邨さん「その状況、その当時の状況、その後の状況、皆さまに見ていただきたい。市民の皆さま含め、観光の皆さまですね、ぜひ見ていただきたいということで設置しております」

 去年は42万人が訪れたという。県外の人、特に関東の人は熱心に見ているという。

 震災から6年となる来年3月、展示はいったん終了する。その後については未定。

 大邨さん「不安と希望が入り交じった状況。そんな中で、ここ1、2年、やはり風化というのがちょっと進んでいるのではというのがあり、この展示、力を入れてやっていきたいと考えています。5年、6年、10年という形で何とか残していきたいと、担当として考えます」

 東日本大震災の記憶を、いわき市も含め、何らかの形で残していきたいとしている。

 ※「3.11 いわきの東日本大震災展」は年末年始も開館。1月は11日(水)、12日(木)が休み。