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真珠湾を慰霊訪問 首相が米大統領と演説

2016年12月28日 10:59
真珠湾を慰霊訪問 首相が米大統領と演説

 アメリカのハワイを訪問している安倍首相は、オバマ大統領とともに太平洋戦争の発端となった真珠湾攻撃の慰霊施設を訪問し、演説を行った。

 安倍首相は日本時間28日午前6時過ぎ、オバマ大統領とともに真珠湾の海に立つ慰霊施設「アリゾナ記念館」を訪問した。両首脳は、真珠湾攻撃で犠牲になった戦艦「アリゾナ」の乗組員全員の名前が刻まれた壁の前で献花を行い、黙とうをささげた。その後、両首脳は演説を行った。

 安倍首相「私は日本国総理大臣としてこの地で命を落とした人々の御霊に、ここから始まった戦いが奪ったすべての勇者たちの命に戦争の犠牲となった数知れぬ無辜の民の魂に永劫の哀悼の誠をささげます。戦争の惨禍は二度と繰り返してはならない。戦後70年間に及ぶ平和国家としての歩みに私たち日本人は静かな誇りを感じながら、この不動の方針をこれからも貫いてまいります。

 私は日本国民を代表し、米国が、世界が日本に示してくれた寛容に、改めてここに心からの感謝を申し上げます。寛容の心、和解の力を世界はいま、いまこそ必要としています。憎悪を消し去り、共通の価値のもと、友情と信頼を育てた日米はいま、いまこそ寛容の大切さと和解の力を世界に向かって訴え続けていく任務を帯びています。日本と米国の同盟はだからこそ『希望の同盟』なのです。

 私たち日本人の子供たち、そしてオバマ大統領、皆さんアメリカ人の子供たちが、またその子供たち、孫たちが、そして世界中の人々がパールハーバーを和解の象徴として記憶し続けてくれることを私は願います」

 オバマ大統領「多くの命が失われ、残忍な戦いが行われた人類の最も悲惨な歴史のあと、アメリカと日本は友情と平和を選んだ。何十年もかけて、我々の同盟は成功したものとなり、いまでは日米は共通の利益を享受するだけでなく、(民主主義という)同じ価値観に根ざし、アジア太平洋地域の平和と安定の基礎となり、さら世界の発展に寄与してきた。我々の同盟はかつてないほどに強固だ。

 歴史を引きつぐことに選択肢はないが、今後どのような未来を築くかの選択肢は我々にある。日本の皆さんが私をいつも歓迎してくれるように、安倍首相、あなたを友好の精神でお迎えしたい。ともに、世界に対して、平和は戦争に勝るというメッセージを伝えたい。

 和解には報復を超える恩恵がある。この静かな湾で。我々は犠牲者に敬意を表し、友人としてこの国のために力を尽くしているすべての人に感謝する」

 これに先だち、安倍首相はオバマ大統領との最後の首脳会談を行った。会談で両首脳はこの4年間、安全保障と経済の両面で緊密に協力してきた関係を総括した上で「日米同盟をさらなる高みに押し上げる」ことで一致した。

 また、安倍首相は先週末に、中国軍の空母が西太平洋に初めて進出したことを取り上げ、両首脳は「注視すべき動向である」との認識を共有した。