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不可能を可能に…夢を叶える技術、続々と

2016年12月27日 17:29
不可能を可能に…夢を叶える技術、続々と

 2014年にSNSなどで広がり、話題になった「アイスバケツチャレンジ」。全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病のALS(=筋萎縮性側索硬化症)への理解を広げるための活動で、多くの著名人も参加し、社会現象になった。


■夢をかなえる技術

 メガネメーカー「JINS」から発売されているメガネ「JINS MEME」。着用してまばたきをするだけで、スマートフォンのアプリと連動してカメラのシャッターを切ることができる。つまり、目の動きだけで電子機器を操作できる仕組みだ。

 このアプリの技術を発案したのは、都内の広告会社に勤める武藤将胤さん(30)。武藤さんは約3年前、26歳の若さでALSを発症した。武藤さんは、ALSが進行しても多くの患者は目を動かせることに着目、難病と闘いながら、この技術の開発を呼びかけたという。

 ALSに対する有効な治療方法は、まだ確立されていないという。

 武藤さん「なんで僕なんだろう、なんで俺なんだろうって、真っ白になったところから。でも今、僕にできることを全力でやるとしたら、何に時間を投下するんだろう。今、僕にできることは、ALSっていう病気、難病を患っている方が少しでも明るい未来にしていくために僕はアイデアを考えていきたいし、形にしていきたい」

 アプリは来年2月に無料公開される予定だが、ALS患者だけでなく、お年寄りや体の不自由な人などが使うことも想定していて、部屋の照明をつけたり消したりすることもできるという。将来的には、目の動きだけでエアコンやテレビを操作したり、電話やメールしたりすることも可能になるという。


■不可能を可能に

 こうした「新しい技術」は続々登場している。例えば「人の手を操るリストバンド」。筋肉への電気刺激で人の手を操るリストバンドだが、指がマヒしてしまった人が指を動かす感覚を取り戻すといったリハビリなどでの応用が期待されている。痛覚や痛みなども感じられる。

 「マッスルスーツ」なども、より多くの人が自由に動きやすくなる新しい技術だ。建設現場で重い物を持ち上げる用途の他、人を持ち上げる介護現場では職員の負担も軽減できる。また、農作業など様々な場面での活用が期待されている。

 様々なところで日々、新しい技術が生まれ、これまで不可能だったことを可能にしている。


■まだ50点ですかね

 “NO LIMIT, YOUR LIFE.”(すべての人生に限界はない)。これは武藤さんが発信し続けているメッセージだ。難病情報センターによると、ALSは進行が非常に早く、発症後は個人差が大きいものの、平均4年程度で自力での呼吸が困難になる。

 しかし、武藤さんは「この病気にかかったからといって、自分の夢を諦めることは全くない」と言っている。実際に武藤さんは、自身が発案した、目の動きで電子機器を操作する技術を使い、一度は諦めた趣味のDJなどを続けたいという夢をかなえているという。

 武藤さん「僕はまだまだ進化していきたいし、これからだって思いが強いので、まだ(今の自分は)50点ですかね」

 新しい技術が、みんなの夢を一つ一つ実現できる世の中になるとよいものだ。