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日本加盟60年 国連とのかかわり

2016年12月19日 17:54
日本加盟60年 国連とのかかわり

 日本が国際連合に加盟してから18日でちょうど60年がたった。これを記念したセレモニーが19日、東京都渋谷区で行われ、安倍首相も出席した。


■そもそも「国連」って?

 そもそも国連は、どのような活動をしているのか。例えば、女優でタレントの黒柳徹子さんが親善大使を務めている国連児童基金(ユニセフ)、モデルの知花くららさんが日本大使を務めている国連世界食糧計画(WFP)などはなじみがあるだろう。

 国連は今から71年前、世界の平和や人権を守るために設立された。国連では世界のルールを作ったり、ルールを破った国には加盟国が協力して制裁を行うことを決めたりしている。日本は1956年、世界で80番目に加盟した。それから60年がたち、今では193か国が加盟している。


■貢献は「お金」だけではない

 日本は国連と、どのようにかかわっているのか。外務省によると、日本は国連の運営費を世界で2番目に多く負担していて、今年は約270億円と全体の約1割を担っている。

 基本的には各国の経済力に応じて割り当てられるが、60年間の合計では8000億円以上(1ドル=115円換算)になり、日本の国連への貢献度は高いといえる。

 「貢献」はお金だけではない。例えば日本は、今までに阪神・淡路大震災や東日本大震災など大きな災害を経験してきた。日本はこうした経験を国連にフィードバックしている。防災について話し合う「国連防災世界会議」はこれまでに3回行われているが、実は全て日本で開催されている。

 2回目は阪神・淡路大震災から10年後に兵庫県神戸市で行われ、3回目は東日本大震災から4年後の2015年、宮城県仙台市で開催された。会議場には世界中からものすごい数の人が集まっていて、日本の経験から学ぼうという意識が感じられた。


■自然災害は起こりやすいが…

 今年、国連大学が発表した報告書によると、「日本は世界で4番目に自然災害に遭いやすい国」と評価している一方で、自然災害が起きた場合のダメージの受けやすさでは日本は158位と、「災害が起きてもダメージは受けにくい」という評価をしている。

 自然災害は起こりやすいが、ダメージは受けにくいということは「防災能力が高い」と世界から評価されているということになる。このため、防災訓練や避難所の運営など防災のノウハウを世界に広めている。


■国連への貢献は「大きい」

 国連で活躍した日本人として有名なのは、緒方貞子さんだ。1991年から10年にわたって、日本人で初めて、国連の難民を救う機関である国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のトップである国連難民高等弁務官を務めた。

 日本の国連への貢献について、神戸大学大学院の国際協力研究科・四本健二教授によると、「世界中から人が集まる国連で、チームワークを大切にする日本人の調整力や、仕事への真摯(しんし)な姿勢は高く評価されている。国連への日本の貢献は大きいと言える」という。


■日本の存在感を

 最近、北朝鮮への制裁などを見ても、「国連は存在感がない」という指摘もある。しかし、これだけ多岐にわたる分野でノウハウを持つ組織は他にない。国連には日本人が積み上げてきた実績も多くあるし、こうしたことを日本の力にかえて世界の中での日本の存在感を高めていきたいものだ。