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豪華クルーズトレイン なぜ続々デビュー?

2016年12月6日 17:34
豪華クルーズトレイン なぜ続々デビュー?

■続々デビューへ「豪華クルーズトレイン」

 来年5月にデビューするJR東日本の豪華寝台列車「トランスイート四季島」。その車両の全貌が5日、お披露目された。特徴はシャンパンゴールドの車体と、先頭に設置された4面ガラス張りの展望車で、東京・上野駅に四季島の専用ホームを造ることも6日に発表された。

 一方で、JR西日本も先週、「トワイライトエクスプレス瑞風」の運行を来年6月に始めると発表した。


■お値段は?

 四季島の最も高い部屋は、3泊4日で1人あたり最高95万円。畳を備えた和室には掘りごたつがあり、ゆったりと車窓の眺めを楽しめそうだ。また、ひのき風呂がある部屋もある。運行初日となる来年5月1日の申し込み倍率は76倍だったという。

 一方、瑞風には、世界でも珍しい1両全てを使った豪華スイートルームがある。2泊3日のコースで1人あたり120万円。5日から受け付けが始まり、問い合わせなどの電話が相次いでいるという。


■プランの中身は?

 具体的なプランについて四季島を例に挙げる。最も長い3泊4日コースでは、上野駅を起点に東北や北海道を周遊する。

 1日目は上野を出発し、栃木・日光で途中下車して日光東照宮などを観光。夜は北海道へ向けて移動しながらフレンチのディナーを楽しみ、車内で宿泊する。

 2日目の朝は北海道・函館に着き、朝食は函館周辺でいくら丼などが用意されるという。函館を観光した後、夜は北海道・登別などにある温泉宿に泊まる。

 3日目は青森県で遺跡めぐりなどの観光。

 4日目は日本海側を回る。山形県で温泉に入り、新潟県を観光して上野駅に戻る。

 このように、様々な観光プランが組まれているところがポイントだ。


■寝台列車との違いは?

 例えば、去年、惜しまれつつも運行を終了した寝台列車「北斗星」の場合、豪華な食事も楽しめるが、最大の役割は「目的地までの移動」という位置付けだった。

 一方、四季島は「上野を出発して上野に戻る」ので、特定の目的地への移動ではなく、各地を観光することが最大の目的となっている。

 車内で振る舞われる料理も地域の食材にこだわっている。ディナーのフレンチのフルコースでは、メーンは青森県の倉石牛のローストを想定しているほか、宮城県産の高級魚・キンキなどが使われる予定だ。


■開業3年 人気続く「ななつ星」

 JR東日本と西日本が相次いでクルーズトレインの運行を始めるのは、JR九州が2013年にスタートさせたクルーズトレイン「ななつ星in九州」の成功が背景にある。

 ななつ星は最も高いデラックススイートが3泊4日で1人あたり最高95万円だが、開業から3年あまりたった今でも申し込み倍率が97倍と、予約がなかなか取れない人気ぶりだ。

 今年、日本サービス大賞の内閣総理大臣賞を受賞し、「鉄道を感動を呼ぶサービス事業へ大きく転換させた」と評価されている。

 JR九州によると、ななつ星の乗客の平均年齢は64.4歳。旅に関心があり、お金に余裕のあるシニア層が多く利用していることがわかる。また、乗客に占める外国人の割合は約20%に上り、外国人の人気もつかんでいる。


■海外富裕層にも売り込み

 JR3社は海外の富裕層マーケットに向けてクルーズトレインの旅を売り込みたいと、フランス・カンヌで行われている旅行見本市に出展している。この見本市は、世界各国の旅行会社が参加して商談を行うという。

 ぜいたくな移動を楽しむ旅から、今回のような豪華クルーズトレインもお目見えした。一方、同じJRでも「青春18きっぷ」などお手軽に計画を楽しむ旅も人気で、楽しみ方が広がっている。