×

秋篠宮さま誕生日会見の全文(1)

2016年11月30日 8:56

 秋篠宮さまお誕生日に際しての秋篠宮ご夫妻記者会見全文は以下の通り。

(宮内記者会代表質問)
【問1】
 殿下にお伺いします。天皇陛下は8月,「象徴としての務め」についてのおことばを表明され,高齢となった天皇のあり方についてのお考えを示されました。表明に至るまでに,殿下はこうした天皇陛下のお考えをいつどのような形でお聞きになり,実際に表明されたおことばをどう受けとめられましたか。今後,天皇皇后両陛下にどのようにお過ごしになっていただきたいかというお考えもあわせてお聞かせください。

秋篠宮さま
 今年の8月8日,天皇陛下のお気持ちの表明がありまして,当日は家族全員でその時間テレビで流れた映像を見ました。このお気持ちについて,いつ,どのような形でということですが,これは私自身,いつだったかという,はっきりしたこの時という記憶はありません。ただ,かなり以前のことだったと思います。また,どのような形というのも,何かあるときそういう機会をもって話を伺うということではなく,折々にそういう考えがあるということを伺っておりました。

 それで今年,陛下がそういうお気持ちを話されたわけですけれども,即位されてから,陛下は象徴というのはどのようにあるべきかということをずっと考えてこられてきたわけです。その一方で,御自身が考えている象徴としてのお務めが,高齢になってそれが果たせなくなる時が来るだろうということも考えておられました。そのようなことから今回のお話になったわけですが,そのお気持ちをできるだけ多くの国民にも知ってもらいたいという考えを持っておられましたが,その一方でやはりこれは憲法にも関係することですし,非常に慎重な対応をしないといけないわけです。そういうことからお立場の責任もありますので,宮内庁長官を始めごく限られた人たちで,随分そのことについて相談をされ,そして内閣の了解も得てお気持ちを表されるということに至ったと私は理解しております。私自身としては,長い間考えてこられたことをきちんとした形で示すことができた,これは大変良かったことだと思いますし,話されるにしても様々な制限がある中で,最大限に御自身の考えを伝えられたのではないかと考えております。(記者に質問を確認されて)もう一つありましたか。

(記者)今後両陛下にどのようにお過ごしになっていただきたいか。

秋篠宮さま
 今,それこそ有識者の議論が続いておりますので,そのこととは全く切り離して,ということでお話ししたいわけですが,私はやはり以前もそれに少し関連したことを話したかもしれませんが,人間ある一定以上の年齢になった,つまり高齢になった場合には,若くて実際にフルに活動ができていたときにはできないことも多々あるわけですので,できるだけある年齢以上になったら,今までやってみたいと思っていたこと,そういうことをできるだけする時間が取れたらいいなと思っております。例えば,若い頃からずっと続けてこられたハゼの研究であったり,音楽であったり,その他,これは私が「こういうこと」と決めてしまうものではありませんが,そういうものをできるだけ時間を取って過ごしていただけたらいいな,と思っております。そして,やはり何と言っても,お身体(からだ)を大切にして過ごしていただきたいなと思います。

【問2】
 殿下にお伺いします。今後の皇室や公務のあり方について,政府は有識者会議を発足させ,議論を進めています。天皇陛下に代わって皇太子さまが即位された場合,皇位継承順位は殿下が第1位に,長男の悠仁さまは第2位になられる一方,皇太子が空位となります。皇族方の減少や高齢化が進むなか,殿下は皇室の現状や将来のあり方,ご自身の活動についてどのようにお考えでしょうか。

秋篠宮さま
 皇室の構成は天皇及び皇族になるわけですが,現状からすれば高齢化,そしてまた今は女性の皇族が非常に多く,結婚すれば皇族ではなくなります。そういうことから,今の活動をそのまま今後も,なかなか表現としては難しいのですが,その量を同じようにできるかというと,私はそれは難しいと思います。ということはやはり,その何年後とかいうことは全く除外して,将来的にその時にいる,それからまた活動ができる皇族ができる範囲で公的な仕事を行っていくということになるのではないかと思います。そして私自身も今まで,例えば高齢になった方や,薨(こう)去された方がしておられたお仕事を引き継いだものもあることはありますけれども,数としては決して多くはありません。ですから,これから先私の活動がどういうふうになっていくかということは,今の段階ではまだ自分の中でも分かりません。

 一方,将来の皇室の在り方というのは,これ自体はやはり制度にも関わることになります。そのようなことですので,今私から将来の在り方ということについてお話をすることは控えたいと思います。