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陛下の退位“想定以上の反対論” 部長解説

2016年11月30日 18:51
陛下の退位“想定以上の反対論” 部長解説

 天皇陛下の「退位」について話し合う有識者会議。専門家16人からのヒアリングが終わったが、7人が「退位」に反対、または慎重な考えを示した。想定以上の強い反対論もある中、今後の政府の動きについて日本テレビ報道局・伊佐治健政治部長が解説する。

――有識者会議の議論が割れている。しっかりとまとまるのだろうか。

 ある与党幹部は「結論は特例法でやるということで動かない」と述べている。しかし、そこに至るまでには紆余曲折もありそうだ。

 政府が描く退位実現へのシナリオは、まず有識者会議による論点の整理、提言を受けた上で、国会でも並行して議論し、来年の春以降をメドに特例法の関連法案を成立させるというものだ。

 専門家からのヒアリングでは、賛成・反対が渦巻いたが、政府としては、あえて議論をオープンにして、国民にこの問題がいかに難しいかを知ってもらうことで、一種の妥協案である「特例法」に集約する狙いもあった。

 ところが専門家の一部から「天皇のお仕事は宮中で、お祈りくださるだけで十分」など、歯に衣着せない言葉で、想定以上の強い反対論が飛び出した。「自由意思による退位を認めたら、天皇制の維持が困難になる」といった強い懸念があるからだが、国会でも民進党などが激しく反発し、与野党の政争の具ともなりかねない気配がある。


――デリケートな問題なだけに、できるだけ静かな議論が望ましかったはずだが。

 その通り。しかし、政府内さえもまだ落ち着いていない。ある政権幹部は「天皇は、ただ存在していることに一番の意義がある」「退位は無理で、摂政しかない」と最近も述べていて、天皇陛下を1人の人間として見て、ご公務を大切にするお気持ちを尊重したい宮内庁などとは、かなり隔たりが政府内でもある。

 国民の総意としての合意づくりに向けて、政府、国会、それぞれに一層の真剣な対応が求められている。