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7か月離島足止め“EU難民”に新たな問題

2016年11月25日 14:12
7か月離島足止め“EU難民”に新たな問題

 中東などからヨーロッパへと押し寄せた多くの難民や移民たち。去年9月、EU(=ヨーロッパ連合)の各国が分担して難民を受け入れることを決めてから1年以上がたったが、いま新たな問題が起きている。

 ギリシャ・エーゲ海の東に位置するサモス島。ヨーロッパへ渡る難民や移民の玄関口として知られる島で、場所によってはトルコまで約1キロしか離れていない。

 シリアやアフガニスタンなどを逃れてトルコへとたどり着いた難民たちはゴムボートで海を渡り、去年1年間で10万人以上がサモス島に到着した。

 町の外れには難民キャンプが造られていた。頑丈なフェンスで隔離された中にはシリアやアフガニスタン、イランなどから来た難民たちが多く住んでいる。キャンプの定員は850人だが、取材時には3倍近い2450人が住んでいた。

 アフガニスタンからの難民「(Qここに来てどのくらい?)7か月くらいです。7か月はとても長いです。自分たちの将来がどうなるかわからない」

 別のアフガンからの難民「7~8か月間、キャンプにいる人もいます。ここでの生活はひどいし、食事もよくない」

 なぜ、ギリシャの離島で7か月も移動できずにいるのか。EU各国は去年9月、ギリシャとイタリアにいる難民16万人を各国が分担して引き取ることを決定した。

 しかし、態勢が整わないことや、受け入れに否定的な国が出ていることなどから、今月時点で実際に各国が受け入れたのはわずか6925人となっている。ギリシャへとたどり着いた難民たちの多くは、そのまま足止めされているのだ。

 難民の子供らを支援するNGOのスタッフ・アレクサンダー氏「去年は到着後、3~5日でアテネに移動しました。でも今は5~6か月も島に残っています。ここに長くとどまっている人は、アテネで優先的に手続きを受けるべきです」

 一方で、ヨーロッパから難民に向けられる視線もこの1年で大きく変わった。ドイツには去年、約100万人が流入したが、受け入れを積極的に進めたメルケル首相への国民からの不満が相次ぎ、極右政党の支持が拡大している。

 また、多くの難民たちが到着したオーストリアでも移民排斥を訴える極右政党が支持を拡大。来月4日に行われる大統領選挙の決選投票では、極右の大統領が誕生する可能性も指摘されている。

 アフガンからの難民「ヨーロッパの国々やドイツは、ここの人のことを考えてほしい。3000人がいて、みんな難民です。裕福ではありません。祖国では身の危険があり、未来もないんです」

 イギリスのEU離脱や極右政党の支持拡大など、その姿を急速に変えつつあるヨーロッパ。難民ひとりひとりの人生にも深刻な影響を与えている。