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“ブラックフライデー”日本で根付くか?

2016年10月31日 19:29
“ブラックフライデー”日本で根付くか?

 先週、流通大手のイオンは今年からブラックフライデーと銘打った全国一斉セールを11月に行うと発表した。ブラックフライデーとは、アメリカで11月末の感謝祭翌日から行われる年に一度の大セールのこと。なじみない習慣だが日本で根付くのだろうか。


■ブラックフライデーとは?

 流通大手のイオンは先週、今年からブラックフライデーと銘打った全国一斉セールを11月に行うと発表した。今年は25日の金曜日から3日間、全国約2万店舗で大々的に行うという。

 ブラックフライデーとは、アメリカで11月末の感謝祭の翌日から行われる年に一度の大セールのこと。デパートやスーパー、家電量販店などがこぞって大幅割引し、老いも若きもみんな買い物にいく、一種の“お祭り”みたいなものだ。寒空の下、徹夜して開店を待つ人もいる。それだけに、アメリカのデパートの売上高はクリスマス商戦もあわせた11月、12月が年間売上高の約4分の1を占めるともいわれている。つまり「ブラックフライデー」とは「黒字の金曜日」という意味だ。

 先ほどの、イオンだけでなくおもちゃチェーンのトイザらス、またキッチン用品などを売る貝印は最大8割引とブラックフライデーのセールを行う予定だ。


■企業だけでなく政府も

 しかし、期待を寄せるのは企業だけではない。今年4月、政府が経済政策を話し合う経済財政諮問会議でこの「ブラックフライデー」の習慣を日本でも、という案が提案された。

 それというのも、国内の個人消費の総額は、2014年4月に消費税率を5%から8%に引き上げて以降2年にわたり低迷を続けている。増税直後は駆け込み需要の反動という側面があったが、その影響がなくなったあともずっと低い水準だ。消費が伸びないと「所得が増え、消費が伸びて、企業業績がよくなる」という安倍政権が目指す「経済の好循環」を実現できない。消費を伸ばす、いわば”切り札”としてブラックフライデー導入が提案されたのだ。


■韓国や中国ではすでに…日本では?

 アメリカのブラックフライデーは1人あたりの平均支出は約3万円。期間中の買い物客は、約1億5100万人にのぼるという。また、韓国や中国でも最近行われているのだが、2014年からブラックフライデーを取り入れた韓国は期間中のデパート大手3社の売上高が導入前と比べて35.8%増えたという。

 しかし、なじみない習慣が日本に根付くかは未知数だ。小売業界の関係者からは「便乗できるものなら便乗したい」という声がある一方、「盛り上がらなければ単なる安売りになる」、「月末の金曜は、仕事が忙しくて早く帰れず、買い物できないお客さんも多いのでは」といった声も聞かれる。

 また、消費刺激策としてどこまで効果があるかについて、大和総研の近藤智也シニアエコノミストは「瞬間的に消費は増えるがその後、反動がくる。本当の意味で消費を底上げするには所得が増えることが大事」、「値引きしないと客が来なくなってしまえば、トータルとして企業の売り上げが増えるのか疑問」などと指摘している。


■楽しんで活気づく?

 アメリカでは街中でクリスマスソングが流れ、感謝祭の祝日もあってと、楽しい気持ちが高まる中でのブラックフライデーだ。日本でも雰囲気作り次第で、ハロウィーンのように定着するかもしれない。うまく浸透して店側も私たちも楽しめて活気づくなら、こうしたイベントを取り入れてみるのもありなのかもしれない。