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大虐殺を乗り越え…ルワンダ経済発展のワケ

2016年9月30日 13:21
大虐殺を乗り越え…ルワンダ経済発展のワケ

 かつて世界を震撼させた「大虐殺」を経験したアフリカ中部の国・ルワンダ。あれから20年余り、現在はアフリカ有数の経済発展を遂げている。なぜ負の歴史から立ち直ったのか、現地を取材した。

 ルワンダの首都・キガリには、近代的な建物や高層ビルが立ち並ぶ。去年の経済成長率は約7%で、アフリカ有数の経済発展を遂げている。

 そんなルワンダで、2つの民族「フツ族」と「ツチ族」の間で「大虐殺」が起きたのは1994年。フツ族がツチ族を襲撃し、わずか3か月で80万人が虐殺されたと言われている。

 虐殺を経験した女性に話を聞いた。

 ムカルリンダさん「男たちは私の腕をナタで切り落とし、顔や頭を切りつけてきました。肩もです。今でも時々、男たちがナタを持って襲ってくる夢を見ます」

 ムカルリンダさんは、初めてできた子どもを目の前で殺されたという。

 癒えることのない虐殺の記憶。そうした時期を経験しながら、ルワンダはたった20年余りでどのように立ち直ることができたのか。

 ルワンダ政府は虐殺後、国民に対し、「フツ」でも「ツチ」でもなく、「ルワンダ人」という意識を持つよう呼びかけた。現在のルワンダ人のIDカードを過去のものと比べて見てみると、「ツチ」や「フツ」といった民族区分についての記載がなくなっていた。

 「皆で国を再建していく」という明確な目標を掲げたルワンダ。また、政府はある政策に力を入れていた。2000年代に入り、ICT(=情報通信産業)を国の基幹産業とすることを決めたのだ。虐殺は「無知」から引き起こされたと考え、ルワンダ国民に「情報」の教育を徹底させることにした。

 その方針はルワンダの小学校でも垣間見えた。子どもたちはパソコンを使いこなしている。ルワンダ政府はNGOと協力し、一部の小学校で1人1台パソコンを配っていた。子どもたちがパソコンを学ぶ様子はルワンダで使われているお札にも描かれていて、政府がいかに力を入れているかが分かる。

 また、キガリから車で4時間の場所にある農村部でも驚きの光景が見られた。都市部だけでなく、農村部に暮らす人にもパソコンに触れる機会を作るため、政府はパソコンを積んだバスを国の隅々に走らせている。

 さらにルワンダ政府はIT分野で活躍する人材を育成するため、アメリカ屈指の有名大学・カーネギーメロン大学も誘致。ルワンダにいながらアメリカにいるのと同じレベルの授業を受けることができるようになった。

 政府の強力なリーダーシップの下で発展を遂げるルワンダ。虐殺の記憶を乗り越え、アフリカの新たな可能性として期待されている。