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「お金」のこと、どのくらい知ってますか?

2016年9月26日 17:42
「お金」のこと、どのくらい知ってますか?

 キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。26日のテーマは「お金の知識」。日本テレビ・小栗泉解説委員が解説する。

 先週、日本銀行は「金融政策決定会合」を開き、これまでデフレからの脱却に向けて行ってきた「金融緩和政策」について枠組みを変更することを決めた。こうした「金融」の話は、身近な話であるはずだが、難しい話でもある。


■「お金の知識」はどの程度?

 【問題】「人生の3大費用」とは?

 1「生活費・教育費・医療費」
 2「教育費・住宅購入費・老後の生活費」
 3「住宅購入費・医療費・親の介護費」

 正解は2の「教育費・住宅購入費・老後の生活費」。これは日銀が事務局になっている「金融広報中央委員会」が、日本人の「お金の知識」を把握するために行った初の公的な全国調査「金融リテラシー調査」の質問の一部だ。この問題の正答率は47.6%だった。

 調査では、このような問題を26問解き、正答率が高いほどお金の「知識」や「判断力」が高いと判断していて、都道府県別にランキングを公表している。

 「金融知識」が一番高かったのは奈良県、続いて香川県、3位は京都府だった。奈良県が1位の理由は、はっきりとは分かっていないが、実は奈良県は全国でも貯蓄額が比較的多く、その「意識の高さ」が「知識の高さ」につながっているのかもしれない。

 一方で最下位は山梨県、46位は沖縄県、45位は山形県だった。この結果について、地域経済に詳しい山梨学院大学大学院の入江省熙教授に聞いた。

 入江教授は「山梨は“無尽”という、金融機関に頼らずに身近な人同士がお金を融通し合う昔ながらの金銭互助制度が今も残るなど、経済的な伝統が守られている地域。それだけに経済の変化などを受け入れてこなかったのでは」と分析した。

 【問題】お金を“必ずもらえる”という前提で

 1「今、10万円をもらう」
 2「1年後に11万円もらう」

 この問題に正解はないが、ポイントは、どちらがより経済的に「合理的な行動」なのかということだ。

 10万円が1年後に11万円になるということは「金利」で考えると10%。今、金利10%というのは、かなりの「高金利」、つまり「お得」ということになる。

 しかし、調査結果を見ると、「今、10万円を選ぶ」「どちらかと言えば選ぶ」と答えた人が合わせて47.5%だった。(1年後を選んだ人は35.1%)。説明を聞くと理解できるが、目先の利益を考えてしまいそうにもなる。

 また、50代の人に「老後への準備状況」を聞いたところ、「資金の計画」をしている人は38.0%にとどまっている。(「計画していない」は62.0%)

 さらに、自分の「年金の受給額」を認識している人は、50代で40.3%と低い結果になった。(「認識していない」は59.7%)


■お金の知識“正答率”が低い日本

 実は日本は国際的に見ても、こうした「お金の知識」が低く、アメリカと比べると問題の正答率が10ポイントも低い。(日本47%、アメリカ57%)

 なぜ、日本は「お金の知識」が低いのか。理由は「教育」の差と言われている。アメリカは2008年の「リーマン・ショック」以降、学校などで家計の管理や生活設計などを学ぶ「金融教育」に力を入れてきた。教育を受けた人の割合は日本の約3倍に上る。

 国際的に「金融教育」の重要性は高まっていて、金融商品を販売する側だけではなく、買う側の「知識」の向上が必要だと言われている。


■知識は味方

 「お金」は一生付き合っていくもので、「知識」はあるに越したことはない。金融広報中央委員会の川村憲章さんは「社会に出る前の学生のうちに、金融教育を受ける機会があることが必要」と話している。

 また、大人になってからでも、身近な銀行や自治体などでお金に関するセミナーなどが開かれているので、暮らしの「味方」になる知識を得ておくことが大切だ。