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激化する中国の海洋進出…南シナ海のいま

2016年9月16日 14:24
激化する中国の海洋進出…南シナ海のいま

 先週、「東アジア首脳会議」がラオスで行われた。日本などは中国に対し南シナ海での中国の主権を否定した仲裁裁判所の判決に従うよう求めたが、それを無視するように中国の海洋進出は激しさを増している。いま南シナ海で何が起きているのだろうか。


■「魚を全部もっていかれる」

 南シナ海に浮かぶ150以上の島からなるインドネシア・ナトゥナ諸島。すべての島を合わせても人口は7万人ほどで、マングローブや、島を覆うジャングルなど、豊かな自然に抱かれたインドネシア辺境の島だ。

 ナトゥナ諸島では漁業を営む人が多く、周囲を囲む海と一体となって暮らしている。その海が今、遠く離れた大国である中国と向き合わざるを得なくなっている。

 ナトゥナ諸島は南シナ海の南端に位置している。ここからは遠い国のように見える中国だが、中国は自らの主権が及ぶ範囲として南シナ海に境界線「九段線」を独自に設定している。その「九段線」の先がナトゥナ諸島の沖合、インドネシアの排他的経済水域と重なっている。

 インドネシア漁船船長「(この辺りには)中国、ベトナム、タイなどの船がきます。魚を全部持っていかれます」

 様々な魚介類がとれるナトゥナ諸島近海。中国の漁船などはこの漁場を狙い、違法操業を行っている。


■違法操業船に同行するのは―

 7年前にインドネシア当局がだ捕した中国漁船の撮影を特別に許可された。船内には、中国語で書かれた計器などがそのまま残されている。ほかの国の船よりひときわ大きな中国船。こうした漁船がナトゥナ諸島近海で違法操業を繰り返している。

 インドネシア政府は、違法漁船への警戒を強めるため、専門の監視チームをナトゥナ諸島に配備。監視チームの基地にはだ捕した多くの違法漁船が並ぶが、実はこの中に中国漁船はひとつもない。中国漁船にはほかの国の漁船に比べ、だ捕することが難しい理由があるという。

 インドネシア海洋水産省職員「私たちの船と、中国漁船がいたところに、急に中国の海警がぶつかってきました」

 今年6月にナトゥナ諸島近海で撮影された写真がある。インドネシア海軍の船とにらみあっているのは中国の沿岸警備隊・海警局の船。中国漁船の違法操業に、中国の公船である海警局の船が同行している。海警局の船が体当たりして違法漁船のだ捕を妨害するなど、今年になり中国側の行動が激化している。


■インドネシアも“中立”から対抗姿勢へ

 こうした中国の行動に対し、インドネシアのジョコ大統領は首都ジャカルタから遠く離れたナトゥナ諸島沖で関係閣僚会議を実施。この海域にインドネシアの主権が及ぶことをアピールした。また、インドネシア政府は今年、だ捕した漁船を相次いで爆破。どの国の漁船かは明らかになっていないが、中国に対する“見せしめ”の意味があるとみられている。

 これまでインドネシアはASEAN(=東南アジア諸国連合)の中でも南シナ海問題に対して中立な立場をとっていた。しかし、今年に入り、その姿勢を急速に変えつつある。中国はなぜ、インドネシアとの関係を悪化させてまで、この海域に野心をみせるのか。ナトゥナ県の副知事は中国の狙いは漁業以外にもあると指摘する。

 ネゲスティ副知事「海底には豊富な天然資源がたくさんあるからでしょう」「もし中国側が攻撃的な態度をとってきたら、我々はそれに対抗しなければいけません」

 今月に入ってからもフィリピンと領有権を争う海域で作業船などを展開させるなど、おさまる気配のない中国の海洋進出。歯止めをかけるための有効策はみつからないままだ。