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前代未聞 金メダリスト狂言騒ぎで“訴追”

2016年9月2日 15:22
前代未聞 金メダリスト狂言騒ぎで“訴追”

 リオデジャネイロオリンピック・競泳の金メダリストのアメリカ・ロクテ選手ら4人が「強盗に遭った」と訴えていた事件で、ブラジル当局は先月25日、ウソの証言をしたとして、ロクテ選手を訴追した。カメラの前で強盗について語っていたロクテ選手。一体、何があったのか。

 日本が史上最多となる41個のメダルを獲得したリオデジャネイロオリンピック。アメリカも史上最多121個のメダルを獲得し、躍進した。

 ところが、その中であらぬ注目をされたのが競泳の800メートルリレーチーム。中でも4大会連続の金メダルを獲得したライアン・ロクテ選手だった。

 ロクテ選手は先月14日、「他の選手3人とともにタクシーに乗っていたところ、警察官を装った強盗に銃を突きつけられ、財布と現金を奪われた」と証言したのだ。

 ところが証言から4日後。事態は奇妙な方向に動き出した。ロクテ選手らが訴えた「強盗被害」について、行動をともにしていたとして、ロクテ選手とともに金メダルを獲得したリレーチームの2選手が警察に事情を聞かれたのだ。

 そして、ブラジルの警察はロクテ選手の証言は“ウソ”、つまり「強盗事件はなかった」と結論づけた。実際には何が起きていたのか。

 警察の説明によると、問題が起きたのは4人を乗せたタクシーが立ち寄ったガソリンスタンドだった。

 ガソリンスタンドの防犯カメラの映像を見ると、トイレの近くにロクテ選手らとみられる人影が見えた後、何かが壊された。異変に気づき、従業員が様子をうかがう。ロクテ選手ら4人が出た後に、壊された物を運び出した。壁にあったポスターの枠のようだ。

 実は4人は酒に酔ってトイレなどを壊した上、そのまま立ち去ろうとしたのだ。そこで警備員は4人に対して銃を向け、引き留めようとしたという。その瞬間だろうか、防犯カメラの映像には4人が驚くような姿も映っていた。結局、4人は弁償として約5000円を支払った。

 「強盗被害」が一転「狂言」に。ロクテ選手をはじめ4人は全員、謝罪を余儀なくされた。しかし、ロクテ選手は「事件がウソだ」との結論について、こう反論している。

 「強盗か、ゆすりか単なる弁償なのかは分からない。分かっているのはあの時銃が向けられていて金を要求されたという事だ」

 金メダリストによる前代未聞の「狂言」騒ぎは、アメリカでも大きく取り上げられた。ニューヨークの人々は…

 「恥ね。彼はスポーツ選手としての能力は素晴らしいけど、大人にならなければいけないわ。きちんとした振る舞いをしないと」

 「アメリカ人のイメージを悪くしてると思う。オリンピックのような素晴らしいイベントであんな事をするなんて情けないし、こんな形で本性を現すべきじゃなかった」

 高まる批判に、ロクテ選手のスポンサーも次々と契約打ち切りを決定。そして先月25日、「強盗被害に遭った」とウソの証言をした罪で、ロクテ選手はブラジル当局に訴追された。

 すっかり色あせた印象の金メダル。騒ぎが収まるまでには、まだ時間がかかりそうだ。