×

都知事有力3候補「政治とカネ」考え方は?

2016年7月29日 17:39
都知事有力3候補「政治とカネ」考え方は?

 キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。31日に投開票を控えた東京都知事選。29日は有力3候補、小池百合子氏(64)、増田寛也氏(64)、鳥越俊太郎氏(76)の政策の中身を日本テレビ・小栗泉解説委員が解説する。今回のテーマは「政治とカネ」。

 東京都知事は「政治とカネ」の問題で2代続けて交代している。まずは、舛添前都知事の時に問題となった点を改めて振り返る。

 舛添氏 今年4月1日の発言
 「トップが二流のビジネスホテルに泊まりますか?」

 舛添氏 今年4月28日の発言
 「公用車というのは動く知事室なんですよ。あのね、政治家というのはトップリーダーです」

 「海外視察の費用」と「公用車の利用」については都民の税金が使われるから、無駄遣いを繰り返さないためにも、しっかり見ていきたいと思う。


■高額な海外視察費
 過去3代の都知事で1回につき最も高額だった海外視察費を比べてみると、舛添氏が約6975万円(ロンドン、ベルリン7日間)猪瀬直樹氏が約4775万円(アルゼンチン11日間)、石原慎太郎氏が約4811万円(ベルリン、ポーランド12日間)だった。

 行き先や同行する人数が違うので一概には比較できないが、このぐらいの費用がかかっていた。ただ、この海外視察というのも本当に意味があってその後の都政に生かされるなら、費用がかかってもまだ納得できるかもしれない。

 そこで、海外視察の費用について、各候補に今後の運用方法を聞いた。すると、3候補とも「ルールを見直す」と話している。

 具体的に見ると、鳥越氏は「舛添前知事の内訳を情報公開し、自らの目で検証する」としている。小池氏は「出張規定、同行者数などを見直す」としている。増田氏は「外部の有識者を招き、見直しの検討チームを設置する」としている。

 海外視察費の中でも特に問題となったのが、飛行機のファーストクラスの利用についてだったが、各候補に「利用するか」と聞いた。鳥越氏と増田氏は「利用しない」と回答。小池氏は「原則利用しない」として、セキュリティー対策で必要がある場合や、自費で差額を支払う場合には利用すると答えた。


■公用車の利用ルールは?
 もう1つ問題になったのが、公用車の私的利用だ。別荘への移動などの公私混同が問題となったが、公用車の利用ルールについても、3候補はいずれも「見直す」としている。

 公用車の利用については、都の規則で「公務を行うために使用」と定めらているが、具体的なルールはない。

 ルールの見直しについて具体的に見てみると、鳥越氏は「利用状況を積極的に情報公開する」としている。小池氏は「公用と私用の日程が交互にある場合などには、合理的に判断する」としている。増田氏は「透明性を担保し、説明責任を果たす」としている。

 実際、都知事になった場合、こうしたことをきちんと実行してほしい。

■「政治とカネ」問題 決別に向けた言葉
 3候補の「政治とカネ」問題への決別に向けた言葉を聞いた。

 鳥越氏「出発点として、税金の使い方、納税者の痛みを十分に感じながら、東京都政を動かしていきます」

 小池氏「無駄なお金の使い方がされていないか、ぜひとも情報公開。私が先頭に立って、都民からの税金を有効に活用する」

 増田氏「全く金についてはクリーン。豪華な海外旅行だとか、それから公用車の使い方、ルールを全部見直して、都民の貴重な税金を無駄に使わない」


■高額?都知事の報酬
 3候補ともクリーンさをアピールしているが、他にも改善できる点はあるのか。1つ議論となるのが知事報酬だ。東京都知事は昨年度、月額給与が145万5000円と、全国の知事で最も高額だった。一番少ない三重は89万6000円なので、50万円以上違う。

 知事の給与は、特に一律の基準があるわけではなくて、自治体ごとに決めている。地域特性もあるが、東京都は全国平均額の116万4368円と比べ、月額30万円ほど高い。

 一部では高額だという指摘もあるが、この点について各候補に聞いてみると、鳥越氏と小池氏は報酬額を「見直す」と回答した。増田氏は「見直す・見直さないのどちらでもない」との回答だった。

 具体的に見てみると、鳥越氏は報酬額を決めている「報酬審議会」の議論や資料を自ら見て検証するとしている。小池氏は、知事報酬を半分に削減するとしている。増田氏は「報酬は仕事内容を都民がどう評価するかによるので、都民の声をよく聞いた上で検討したい」としている。

 「政治とカネ」の問題について、他に立候補している山口敏夫氏(75)は「知事報酬を2分の1、もしくは3分の1に削減する」、上杉隆氏(48)は「都知事に関わる公務の諸経費を全て公開する」、中川暢三氏(60)は「知事報酬を半減し、支出状況をインターネットで公開する」などを打ち出している。

 都知事選にはこの他、以下の15人が立候補している。

 高橋尚吾氏(32)
 谷山雄二朗氏(43)
 桜井誠氏(44)
 マック赤坂氏(67)
 山中雅明氏(52)
 後藤輝樹氏(33)
 岸本雅吉氏(63)
 七海ひろこ氏(31)
 関口安弘氏(64)
 立花孝志氏(48)
 宮崎正弘氏(61)
 今尾貞夫氏(76)
 望月義彦氏(51)
 武井直子氏(51)
 内藤久遠氏(59)

 それぞれ、いかにして「政治とカネ」の問題をクリアにして都政を行うか。考え方の違いをしっかり知って投票したいものだ。