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夏休みは九州へ行こう!観光で復興応援

2016年7月20日 19:59
夏休みは九州へ行こう!観光で復興応援

 キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。20日のテーマは「夏の九州へ行こう!」。日本テレビ・小栗泉解説委員が解説する。


■観光に見る地震の爪痕

 熊本県や大分県では今年4月にあった地震の影響をうけ、観光客が激減した。5月の観光客数をみると、国道が寸断された阿蘇地域は去年の同じ時期と比べてほぼ0%、つまり観光客がほとんどいなくなってしまった。

 また、天草地域も地震の影響は少なかったが、風評被害で宿のキャンセルが相次ぎ、ほぼ0%となった。温泉地が多くある大分県をみても、別府市は去年の同じ時期の約60%。湯布院温泉のある由布市は約38%と大幅に減った。

 こうしたキャンセルによる損失額は、5月時点で熊本県全体で380億円、大分県全体で23億5000万円にのぼったということだが、実は、観光への打撃は熊本や大分だけではない。

 というのも、熊本を訪れるツアーは、長崎や佐賀・鹿児島などといくつかの県をまたいで回るプランが多いことが要因の1つだ。観光庁によると、地震発生から5月の連休明けまでの1か月足らずで九州全体でのキャンセル数は約75万人にのぼったという。


■旅行代金が最大で「7割引」

 ただ、政府は先週、熊本県内の地震活動について、5月以降低下していて最大震度5強程度の余震が起きる可能性は低くなったとする見解をまとめている。

 そうした中、九州に観光客を呼び戻すための取り組みも始まっている。それが7月から発売が始まった「九州ふっこう割」という仕組みだ。国の補助金で九州旅行の代金が最大で7割引となる。「九州ふっこう割」は旅行会社の窓口やインターネットサイトから予約できるが、完売が相次いでいるとのこと。20日から新たに宿泊の割引券21万枚が販売されている。


■「祭り」で情緒あふれる夏の夜を

 さらに、来週以降は夏祭りが続々と行われる。23日からは大分県日田市で約300年の歴史をもつ「日田祇園祭」が行われる。ちょうちんで飾られた山鉾(やまぼこ)は迫力満点で、男衆が担いで練り歩き豪華さを競う。

 また、8月5日からは「大分七夕まつり」だ。商店街がカラフルな七夕飾りで彩られるほか、夜には武将をかたどった勇壮な山車と約1000人の踊り子が練り歩く。

 そして、熊本県山鹿市では8月15日から山鹿灯籠まつりが行われる。浴衣姿の女性達が頭に灯籠を載せて踊る「千人灯籠踊り」が一番の見所で、毎年、約19万人が訪れる。


■雄大な風景に名産も

 熊本県の観光課によれば、この他にも景色や食べ物を楽しめる場所はたくさんあるそうだ。

 たとえば、熊本県の高森町は、主要な道路が寸断された南阿蘇村の隣にあるため交通手段がないと思われていて、今も観光客がほとんどいないそうだ。だが、他の道で時間もほとんど変わらずアクセスが可能で、阿蘇高原の雄大な風景を楽しめるうえ、大自然で育まれた「あか牛」を使った「あか牛丼」も食べられる。

 また、天草にある下田温泉は、海がきれいで1年を通してイルカウオッチングが楽しめる。多いときには何百頭ものイルカの群れに出会えるそうだ。名産のタコ刺しも魅力だ。


■楽しみながら応援

 今回のポイントは「楽しみながら応援」。地震発生の後、熊本や大分のアンテナショップは多くの買い物客でにぎわっていた。観光や買い物などを楽しみながらできる応援であれば長く続けやすい。お客さんの楽しむ笑顔は地元の方の励みにもなるのではないだろうか。