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「太平島は岩」判決受け入れられない~台湾

2016年7月12日 23:38

 南シナ海の領有権をめぐり、フィリピンが中国を提訴している仲裁裁判の判決で、台湾が南沙諸島で実効支配する太平島について、排他的経済水域を持たない「岩」との判断が出された。これを受けて台湾の総統府は、「判決は受け入れられない」との声明を発表した。

 台湾は、南シナ海の島と周辺海域の領有権を主張していて、南沙諸島の太平島を実効支配している。国際的な司法機関・仲裁裁判所は12日、中国が南シナ海で保有していると主張する権利について「法的根拠はない」とする判決を下したが、この中で太平島を含む南沙諸島を排他的経済水域を持たない「岩である」と認定した。

 これを受け、台湾の総統府は、「審理の過程で台湾には仲裁裁判への参加を求められなかった」とした上で、「仲裁案は受け入れられず、法的効力を持っていない」と主張した。

 一方、声明では南シナ海での権利を否定された中国についての言及はなく、南沙諸島については、関係各国で協力して話し合い、平和的に解決すべきとした。

 台湾は、14日から周辺海域の巡視を予定していた海軍の軍艦の出発を13日に早めるなど、関係各国をけん制する動きも見せている。

 今年5月に誕生した台湾の蔡英文政権はこれまで、中国と距離を置き、日本やアメリカを重視する姿勢を見せていた。しかし、南シナ海をめぐり、同じく仲裁案を受け入れない中国に同調する形になり、中国側も「ともに南シナ海の領土主権を守る責任がある」として共闘する姿勢を見せている。