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「まるごとユニバーサルデザイン」のミカタ

2016年7月1日 18:46
「まるごとユニバーサルデザイン」のミカタ

 中央大学法科大学院・野村修也教授が解説する「会議のミカタ」。1日のテーマは「街をまるごとユニバーサルデザインに」


■「ユニバーサルデザイン」って?
 ユニバーサルデザインは、誰にとっても便利なデザインでつくられたデザイン。例えば「シャンプーボトル」「ドラム式洗濯機」「ジャンプ傘」。シャンプーボトルの多くについている突起は、触れるだけでリンスと区別できる。斜めになっているドラム式洗濯機は、楽な体勢で作業ができる。ジャンプ傘も片手で開くことができる。

 先月28日、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた街づくりを考える会議「ユニバーサルデザイン2020街づくり分科会交通/建築施設WG」が開かれた。交通インフラや施設などのユニバーサルデザイン化をどう進めていくのかについて、有識者や障害者団体などが積極的な意見交換を行った。

 先週発表された最新の新国立競技場のイメージ図でも、ユニバーサルデザインの発想が取り入れられていて、車いす席が高層スタンドなどにも設けられている。


■ユニバーサルデザインとバリアフリーの違いって?
 「誰にとっても便利」という意味では同じだが、似て非なる部分がある。

 バリアフリーとは、高齢者や障害者などのために障壁=バリアを取り除くことをいう。段差のあるところに後からスロープをつけることがその一例だ。

 一方、ユニバーサルデザインは対象となる人を区別せず、全ての人が使いやすく最初からデザインするという発想だ。そもそも段差がないように造るという発想がユニバーサルデザイン。「分け隔てなく」というところがポイントとなる。

 他には、車いすの方や高齢者が快適に乗り降りできる広いスペースを持った「ユニバーサルデザインタクシー」や、宿泊施設では、ベッドが電動になっていたり、光の点滅で来客を教えてくれたりする「ユニバーサルデザインルーム」などが考えられる。

■情報のユニバーサルデザイン
 さらに最近では、日本人も外国人も分け隔てなく便利に暮らせるようにするために、新しいサービスの開発も始まっている。電車に乗っている時に流れてくるアナウンスを例に挙げる。

 「まもなく、羽田空港国際線ターミナル。国際線ご利用のお客様は、こちらでお降りください」

 よく耳にするアナウンスだが、外国人には理解できない人も多い。

 そこで日本の企業が、あるスマホアプリを開発した。アナウンスの中に信号が含まれていて、スマホが信号を受信すると英語やフランス語、中国語など様々な言語で表示されるアプリだ。これは音声から信号を受信していて、インターネット環境も不要なので、災害時にも役立ちそうだ。

 将来的には、案内の音声が流れていることを画面表示の点滅や振動で知らせる機能も開発中で、聴覚障害者の方にも便利になりそうだ。

■心もユニバーサルデザインに
 オリンピック・パラリンピックをきっかけに、様々なユニバーサル化が進みそうだ。オリンピック・パラリンピックにとって大切なのは、開催国がどんなレガシー=遺産を残すかという点にある。

 ユニバーサルデザインの建物が残るだけでなく、私たちの心が世界に開かれるような、そうしたユニバーサルデザインをつくっていくことが大事なのではないか。