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マネーフォワード生んだ発想と意志 2/5

2016年6月30日 20:01
マネーフォワード生んだ発想と意志 2/5

 マネーフォワードの代表取締役CEO・辻庸介氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。2つ目のキーワードは「ソニー時代は経理を担当。このままでいいのか…そんなとき社内公募でマネックス証券への転身を図った」。辻氏が起業を決意したきっかけとは―


■“フロント”で新しいサービスを届けたい

――ずっとIT一筋だったわけではないのですね。

 ソニーの時は、入社して経理に配属になりまして、それまで経理をやったことはありませんでしたが、せっかくなのでがんばってやってみました。しかし、“バックオフィスより、フロントのほうで、ユーザーに新しいサービスを届けたい”ということで、マネックス証券に出向させてもらったというかたちです。


――インターネット証券の先駆けというマネックスに出向したということで、現在の仕事と少し近づいてきたということですね。

 はい、「金融×IT」という軸で、そのITによって、新しい金融サービスをつくろうと。マネックス証券では、松本大さんという創業者の下で、9年ほど修業させてもらいました。その経験が大きかったです。


――具体的には?

 私がマネックス証券にうつったときはベンチャーだったので、走りながら考えるみたいなスピード感がありました。そういう“トライアンドエラー”―失敗しても、次の成功があるからいいんだという、かなりチャレンジングな環境だったと思います。


■起業を決断したワケ

――それでもやはり10年以上、ソニーのような大きな会社に勤められた中、最終的に起業しようと決断したきっかけはありますか。

 マネックスにいたときに、2年間アメリカに留学しました。その時、いろんなアメリカのサービスを見て、まだまだ日本のサービスは遅れているなと。お金ってすごく大事なものだと思いますが、ユーザーが使って「お金について賢くなる」「お金についてモヤモヤっとしたものが解消する」とか、そういったものを勉強しなくても、お金の心配がなくなるようなサービスができるんじゃないかなと。それをアメリカで強く感じました。


――すてきな出会いがあったとも聞いています。

 私は東海岸のMBA(経営学修士)に行っていたんですけど、もうひとり西海岸のMBAに行っていた人とつながりまして、未来の日本の金融サービスはどのようなものがあればいいのかをスカイプを使ってアイデアをかたちに変えていきました。


――そこからどういった経緯でマネーフォワードを立ち上げるまでに?

 はじめはマネックス証券で、社内ベンチャーとしてやろうと思っていました。リーマンショックなどの影響で、投資などができる環境になかったので、自分たちでやることになりました。かなり恐怖もありましたが、「始まった」というかたちです。