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カギは家庭の賢い選択…温暖化対策のミカタ

2016年6月24日 18:50
カギは家庭の賢い選択…温暖化対策のミカタ

 中央大学法科大学院・野村修也教授が解説する「会議のミカタ」。24日のテーマは「温暖化対策のカギは家庭の賢い選択!」


■地球全体の平均気温が“最高”に
 環境省は地球温暖化防止を呼びかけるため、夏至にあたる今月21日にライトダウンイベントを実施した。時間は午後8時からの2時間で、全国2万以上の施設が参加した。

 その前日の今月20日には「第1回 COOLCHOICE 推進チーム」の会議が開かれた。海面の上昇や異常気象などを引き起こすとされる温暖化防止に向けて地球にやさしい“賢い選択”「クールチョイス」の価値観を、国民・家庭にどう浸透させていくかの議論が始まった。

 CO2(二酸化炭素)など温室効果ガスの増加が原因とみられる地球温暖化は年々深刻になっていて、去年の地球全体の平均気温は観測開始以来最高(14.8℃)となった。

 そこで、フランスで去年12月、役割を終えた京都議定書に代わる枠組みとして196の国と地域が「パリ協定」を締結した。これにより、各国はCO2などの温室効果ガスについてそれぞれ削減目標を掲げ、5年ごとにその進ちょく状況を報告することが法的に義務付けられた。

 日本は2013年度に比べ、2030年度までにCO2などの温室効果ガスを26%、約3億6000万トン削減することを目標に掲げている。


――そんなに大幅な削減は可能なのか?

 そのカギを握るのが、家庭の「クールチョイス」だ。工場などの産業部門はCO2の排出量について1990年度の約5億トンから、2014年度には約4.3億トンまで減らしているが、家庭部門では約1.3億トンから約1.9億トンと逆に増加している。

 環境省は2030年度の削減目標達成のためには、家庭部門では2013年度に比べ、約40%の削減が必要だとしている。


――私たちには何ができるのか?

 技術の向上によって、発電によるCO2排出量をある程度削減できると言われている。ただ、それでは不十分なので、家庭での電力消費を少なくしていく努力が求められる。

 例えば、全ての照明をLED電球に換え、全ての窓を二重にするなど複層のガラスに換える。さらに、省エネ家電に買い替えることなどを各家庭が行うことで、目標を達成できると見込んでいる。


■スマートハウスの推進
 また、政府はスマートフォンならぬ「スマートハウス」の普及も推し進めている。

 ある住宅設備メーカーが、近い将来の住まいの姿を見据えて敷地内に建設した実験住宅には、室内の至るところに、タブレット端末が設置されていて、家電や照明などを操作することができる。

 消し忘れがあった際には、「1階トイレの照明を消し忘れています。人がいないので明かりを消してください」などといった音声が流れる。

 さらに、屋外に設置されたセンサーが風向きなどの情報を収集し、風通しが良くなるよう自動で窓を開閉するなど、自然の力を利用して無駄な電力の消費を抑えることができる。


――家電の買い替えや最新技術の導入にはお金がかかる?

 「長い目で見れば家計にもお得」―家電の買い替えや最新技術の導入には初期投資はかかるが、長い目でみればお得になることも多い。

 環境省がインターネット上に公開している「しんきゅうさん」。これは、古い商品と新しい商品を比べ、どれだけ省エネになるかを調べることができる。

 長い目で見れば家計にもお得だということを、どう家庭に理解してもらうか、そこが課題だと思う。