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不安の18歳投票…あの手この手の取り組み

2016年6月22日 19:22
不安の18歳投票…あの手この手の取り組み

 キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。22日のテーマは「あの手この手で投票呼びかけ」。日本テレビ・小栗泉解説委員が解説する。

■初めて「18歳以上」が投票する選挙
 第24回参議院選挙が22日に公示され、来月10日の投開票に向けて18日間の選挙戦が始まった。様々な重要な争点があるが、国政選挙としては初めて「18歳以上」が投票する選挙としても注目されている。


■選挙検定って?
 初めて投票する人に政治や選挙の基礎知識を身につけてもらおうと「選挙検定」という企画も立ち上がっている。いくつか問題を紹介する。


【中学卒業程度の3級の問題】
「参議院議員の任期は何年か?」

 正解は「6年」


 「明治時代に内閣制度が発足した時、初代首相となった人は誰か?」

 「大隈重信」
 「板垣退助」
 「伊藤博文」
 「西郷隆盛」

 正解は「伊藤博文」


【高校基礎レベルの2級問題】
 「政党や政治団体に政治資金の収支報告をするように義務づけている法律は何か?」

 「議院証言法」
 「公職選挙法」
 「国会法」
 「政治資金規正法」

 正解は「政治資金規正法」

 こうした「検定」という形をとることで、政治を身近に感じられる面もあるが、企画した政治学者らも「若い人が政治について考えるきっかけになれば」と話していた。


■引き下げられた選挙権年齢
 選挙で投票ができる選挙権年齢は、終戦直後の1945年に「20歳以上」と定められた。今月19日に施行された改正公職選挙法では、これを「18歳以上」に引き下げた。約70年ぶりの大改革だが、今回、新たに有権者となる18歳と19歳は約240万人、有権者全体の2%程度にあたる。

 18歳で初めて投票するとなると、不安のある人もいるかもしれない。そこで、若い人に向けた「あの手この手の取り組み」が各地で行われている。

■TOHYO都
 東京都選挙管理委員会は「東京都」と「投票」にちなんで「TOHYO都」という架空の都市をインターネット上につくった。

 選挙管理委員会が作ったとは思えないくらい、シュールな動画も公開、インパクトの強い映像で若い世代の関心を高める狙いがあるという。


■選挙手帳
 愛知県犬山市が配布した「選挙手帳」。今年度に18歳から20歳になる市民に郵送された。中には、スタンプを押せるスペースがある。投票に行くたびに何の選挙でいつ行われたのか、スタンプを押していくというスタンプラリーのような形式になっている。今後はキャラクターのスタンプも検討しているという。

 また、隣にはコメント欄があって、どんな思いで投票したのか書き込めるようになっている。自分の投票を振り返って、次に生かすこともできそうだ。犬山市では「人生80年の間に100回投票できる」と試算して、スタンプ欄を100個設けたという。


■親を誘って一緒に投票
 高校生が中心となった取り組みもある。愛媛県松山市の選挙管理委員会では、高校生や大学生の力を活用して同世代に投票を呼びかけている。

 今回、高校生が企画・出演したCMもつくられた。女子高校生が帰宅後に母親と一緒に初めての1票を投じる話だが、高校生が親を誘って一緒に投票に行くというこれまで想定できなかった内容となっている。今回の選挙では各地でこうした光景が見られるかもしれない。


■政治の流れを変える
 前回2013年の参議院選挙の年代別投票率を見てみると、20代は33.4%と低い一方、60代は67.6%と実に2倍以上の差がついている。

 これは投票に積極的な高齢者の声が国政に反映されやすいということにもなるから、今回、18歳、19歳の新しい有権者が投票に行けば、若い世代に負担のツケを回すような政治の流れというのも変えられるかもしれない。