×

震災の経験ふまえ“工夫”「ふさ復興会館」

2016年6月7日 21:13
震災の経験ふまえ“工夫”「ふさ復興会館」

 5年前の東日本大震災で、液状化により広い範囲で被害を受けた千葉県我孫子市布佐地区に新たな地域の施設が完成した。震災の経験をふまえ、随所に工夫が凝らされている。

 千葉・我孫子市の交差点脇に建つ平屋の建物は、3月末に完成した「ふさ復興会館」。50人ほどを収容できるホールや、大きな鍋なども収納可能なキッチンなどを設置している。一部、復興交付金を活用し、市が建設。普段は地元自治会が管理している。

 5年前の東日本震災では、布佐地区の12.5ヘクタールで、液状化が発生し、住宅や道路などに被害が出た。こうした震災の記憶を風化させないため地域の歴史や被害などを記した看板を表に設置。また、5年前の被害の状況と現在を比較した写真を廊下に展示している。

 もうひとつの大きな役割は「災害時の拠点」。災害が起きたとき、市と住民が協力して災害対応の拠点として機能する。震災の経験をふまえシャワールームは2か所、車いす対応のトイレも設置されている。

 布佐二丁目自治会・加藤年史会長「自治会活動ばかりでなく地域でいろんな団体や個人が活動しているけど、そういう人たちが自由に使えるような会館にしたい。(震災から)年数たてば忘れられるのではなくて、ずっと後世に伝えていく、知ってもらう。頼れるところがあることが住民にとって大きいのでは、安心材料になるけれども避難は住民と自治会で、連係プレーをちゃんとしていかなくてはならないことは常に頭に置いておかなくては」

 将来的には、非常食や浸水時の移動用のボートなどの装備も必要と考えている自治会。今後、市に要望していきたいとしている。