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米朝がスウェーデン極秘協議 その狙いは?

2016年6月3日 15:48
米朝がスウェーデン極秘協議 その狙いは?

 先月31日にもミサイルの発射を試みた北朝鮮。国際社会への挑発を繰り返す中、外務省高官がある人物と、スウェーデンで極秘に3日間、接触した。


■ストックホルムで米朝非公式協議
 先月27日、スウェーデンの空港に1人の男性が降り立った。北朝鮮外務省の韓成烈・米州局長、国連の次席大使を歴任するなどアメリカとの水面下の交渉を担当してきた人物だ。

 ストックホルム郊外。民間の施設に1台の車が入る。車から現れたのは韓局長。その約2時間後、韓局長と共に現れたのはアメリカ国務省の元高官たちだった。

 彼らが一緒にいた目的は、北朝鮮とアメリカの非公式協議のためだ。先月上旬に開かれた朝鮮労働党大会以降、北朝鮮とアメリカが接触するのは初めてとみられる。

 今回の非公式協議にアメリカ側から出席したのは、エバンス・リビア氏。国務省の元高官で、北朝鮮政策に精通する専門家だ。

 北朝鮮は現在の体制の保障を求めてアメリカとの直接対話を望んでいるが、アメリカ側は北朝鮮が核開発をやめる意思を示さない限り、直接交渉には応じない姿勢を見せている。


■リラックスした雰囲気で…
 そんな中、先月28日から始まった非公式協議は約300年前に建てられたストックホルム郊外の城で、米朝合わせて約10人が参加して行われた。

 協議会場の前に住むマイエリース・ペーターソンさん「1階は夕食がとれるダイニングルームで、2階はコーヒーが飲めるサロンになっているの」

 城から出てきた韓局長とリビア氏は時折、笑顔を見せながらリラックスした様子だった。


■3日間で20時間の協議
 協議2日目。双方の参加者は城に隣接する施設に宿泊し、そこから歩いて協議会場との間を行き来していた。この日も長時間にわたって城に籠もり、協議を行った。

 最終日となる3日目になると、これまでと違って記者の挨拶に応じる姿も見られた。協議を終えた後、双方の参加者は互いに手を振って、笑顔を見せる場面もあった。

 3日間で20時間近く行われた協議。どんなことが話し合われたのか取材を試みたが、韓局長とリビア氏はいずれも応じなかった。また、協議会場のスタッフにも声をかけたが、かん口令が敷かれているのか関係者全員がコメントを避けた。

 内容については一切公表されていないが、北朝鮮の核開発をめぐり、米朝間で意見交換が行われたとみられる。

 対話と挑発を使い分け、国際社会に揺さぶりをかけようとする北朝鮮。アメリカ国務省は「今回の元高官らの行動には関与していない」としているが、話し合った内容について今後聞き取りを行うものとみられる。