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補選で自民勝利…W選は? 政治部長が解説

2016年4月26日 0:50
補選で自民勝利…W選は? 政治部長が解説

 24日、衆議院北海道5区と京都3区の補欠選挙の投開票が行われ、北海道5区では、自民党公認の和田義明さんが当選、京都3区では、自民党が“不戦敗”を決める中、民進党の前職・泉健太さんが当選した。今回の選挙結果をうけて焦点の衆参ダブル選挙はどうなるのか、政治部の伊佐治部長に聞く。

 安倍政権が描いてきたとみられる1つのシナリオは、まず24日の補欠選挙で野党連合に確実に勝つ、そして来月の伊勢志摩サミットで世界をリードする安倍外交をアピールし、検討している来年4月の消費増税の先送りを決めた上で、参院選、あるいは、ダブル選挙に踏み切るというシナリオだ。

 ところが、そのシナリオが大きく狂った。まず熊本地震の発生。「被災者を助けることが最優先で、選挙をやっている場合ではない」と、ダブル選挙は困難との見方が広がった。実際、熊本地方では依然として活発な地震活動が続いている。

 安倍首相は、「激甚災害」に指定して補正予算案の成立など全力を尽くす構えだが、復旧の見通しはたっていない。

 また、勝ったとはいえ、今回の補選がこんなに接戦になったことも誤算の1つで、野党の連携は手ごわいことがわかった。

 NNNの当日の出口調査でも、今回、いわゆる無党派票の7割近くが野党候補に流れたとみられる。ダブル選挙にして投票率が上がったら、こうした票が一層増える可能性も出ている。

 しかし、ダブル選挙が見送りになるとは言い切れない。そもそも夏の参院選を絶対に勝つことが安倍首相の今年の至上命題。なぜそんなに力を入れるかというと、この20年をふり返っても、自民党が大敗した例が2つある。1つは橋本政権。本格内閣として長期政権の見方もあったが、経済運営などの失敗から大負けして退陣に追い込まれた。もう1つは、記憶にも新しい安倍第1次政権。閣僚のスキャンダルなどが響いた。

 参院選は、自民党のおごりが目立つと、おきゅうをすえてやれという有権者の思いが働き、大敗につながる例が多い。用心深い安倍首相としては、9年前の二の舞いを避けるために、どんな手段もとるという中からダブル選挙が浮上していた。

 今回の結果を見ても、風に影響されやすい参院選の不安は消えたとはいえない。そうすると、まだダブル選はあり得るとの見方をすることもできる。

 このところ追い込まれた感があった安倍首相だが、今回の勝利で改めてフリーハンド、解散権を握り直したとの見方がある。

 30年前の中曽根政権下のダブル選挙は『死んだふり解散』といわれ、誰もが「なくなった」と思った時にサプライズでやったから効果も大きかった。

 与党幹部からは、「参院選を勝たせたいからダブル選をやるのは大義名分にならない」と強いけん制もあるが、安倍首相は情勢をにらみながら、最終的な判断を探るとみられる。

 熊本地震の復旧がどこまで進むかが1つの鍵となりそうだ。