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“コピーの思考”を仕事に生かす術 1/5

2016年4月14日 14:38
“コピーの思考”を仕事に生かす術 1/5

 毎回様々なジャンルのフロントランナーを招き、キーワードを基にビジネスのヒントを聞く日テレNEWS24・デイリープラネット「飛躍のアルゴリズム」。

 12日のゲストは電通・コピーライターの阿部広太郎さん。「いつやるか、今でしょ!」でも話題になった東進ハイスクールのCM「生徒への檄文」編の制作にも携わり、その後も言葉の力を駆使しながら、いくつものプロジェクトを立ち上げている。コピーライターの技術・思考は、ビジネスの現場でどう生かすことができるのだろうか。その極意を聞く。

 1つ目のキーワードは「転機となった大ヒットCM誕生の裏側」。東進ハイスクールのCMで使われた林修さんの「いつやるか、今でしょ!」のセリフは、その年の流行語大賞にまでなった。この言葉の発見には、地道な作業とある狙いがあった。

■70時間にも及ぶDVDチェック

 ――東進ハイスクール・林先生の「いつやるか、今でしょ!」は、阿部さんの転機ともなった大ヒットCM。この誕生の裏には、70時間にも及ぶDVDチェックがあったそうですが、実際に一人で見られたのですか。

 実際に見ました。というのもあのCM自体が、先生たちのリアルなDVDの授業を見て、そこから良いセリフをピックアップしていくというものです。林先生だけでなく、他の先生含めて、70時間分ぐらいのDVDを見て、選んでいくという作業をしています。

 ――そこで林先生が「今でしょ!」と言っていたわけですね。

 そうです。実際に林先生がおっしゃっているのを、みんなで「これいいよね」ということで、選んでCMに使いました。

 ――もともと林さんが推していたということではないと。

 はい。林先生が偶然、流れの中で発した言葉を見つけたというかたちです。

■人生訓にもなるような言葉を選びたかった

 ――決め手になったのは、どこだったのでしょう

 選ぶときの基準で、「人生訓」にもなるような言葉を選びたいと考えていました。CMは高校生だけではなく、親も見ますので、世代を超えて「いいよね、あの言葉」と思ってもらえるような。そこで、「いつやるか、今でしょ!」というのは、みんなに「そうだよね」と思ってもらえたかもしれません。

 ――その後、流行語大賞に選ばれるなど、非常に大きな経済効果ももたらしました。こんなにヒットすると思っていましたか。

 当時は、CMとして“強い”ものになったなとは思いましたが、まさかそんなにヒットするとは思っていませんでした。テレビで芸人さんがまねしてくれたり、子供たちがまねしてくれたりとか、言葉が一体感を持って広がっていくのがわかりました。幸せな経験をさせてもらったと思います。