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首都直下地震、生きるために何ができるか?

2016年4月6日 19:42
首都直下地震、生きるために何ができるか?

 キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。6日のテーマは“首都直下地震”。首都直下地震は今後30年間で70%の確率で起きるとされていて、“今”起きてもおかしくない。その被害は最悪の場合、首都圏の1都3県で死者2万3000人に及ぶと想定されている。その時、私たちはどう行動すればいいのだろうか。日本テレビ・小栗泉解説委員が解説する。

■救援物資が届くのは4日目以降

 国は先月29日、この首都直下地震が起きた場合に、どう対応すべきかを示した対応計画を公表した。東京・埼玉・千葉・神奈川の1都3県で甚大な被害がでれば、役所の機能がダウンする可能性があるので、自治体からの要請を待たずに、全国から自衛隊、警察、消防など合わせて約14万人を投入する。さらに食料、毛布、赤ちゃん用のおむつなど生活に必要な物資を拠点に送る計画をしている。まさに初動を重視した、大規模な救援計画だ。

 ただ、国はこうした公的支援には限界があるとし、今回の計画では国民にも協力を求めているのが特徴だ。救援物資が避難所などに届くのは、地震発生から4日目以降と国は計画していて、はじめの3日間は自らが準備をしておいて、しのぐ必要がある。

■感震ブレーカーが普及すれば死者は半分に

 他にはどのような協力が私たちに求められているのだろうか。平時の備えとしては3つの項目がある。

(1)最低3日分の備蓄
(2)安否方法の確認
(3)家具の固定・感震ブレーカーの設置

 感震ブレーカーを設置する理由は、火災を防ぐためだ。首都直下地震では大規模な火災が発生して、火災による死者が全体の約7割、1万6000人に及ぶと想定されている。実際、阪神・淡路大震災や東日本大震災では、原因が特定できた火災の6割以上が、避難した後に停電が復旧して電気器具から出火するといった「電気火災」だった。感震ブレーカーの普及が進めば、国は首都直下地震による死者は1万6000人から9000人とほぼ半分に減らせるとしている。

■むやみな移動は避ける

 実際に首都直下地震が起きたその時にも、国が私たちに求めていることがある。それは「むやみに移動をしない」。東日本大震災では、多くの帰宅困難者がでた。国は首都直下地震が起きれば、東京都で、東日本大震災を上回る約490万人(東京都)の帰宅が難しくなるとしている。一斉に帰宅をはじめると大きな混乱が起きたりするため、救助活動の妨げになる可能性がある。すぐに移動したり帰宅したりせず、安全を確認した上で待機することを求めている。

 実際には、どこに待機すればよいのだろうか。会社や学校にいる場合は施設内に待機し、買い物などで外にでている場合は、一時滞在施設を利用するよう求めている。一時滞在施設は、帰宅困難者を受け入れると市区町村とあらかじめ協定を結んでいるホテルや会社などの施設のことだ。

■地区全体で連携を

 しかし、都によると、一時滞在施設は必要な受け入れ人数の3割弱しか確保されていない。その理由は、一時滞在施設の職員が対応に追われ、本来の業務に影響がでる心配や、受け入れた帰宅困難者が施設内で負傷した場合、だれが責任を取るのかなどの懸念で、一時滞在施設に名乗りを上げるのをためらう事業者がいるためだ。CeMI環境・防災研究所の松尾一郎さんは「実際に帰宅困難者を受け入れる地区の住民や企業が、一体となった話し合いの場を設ける必要がある」と指摘する。つまり、地区全体で連携する必要がある。

■自分でできることを確認

 今回のポイントは「自分でできることを確認」。首都直下地震は、人口が多い首都圏で起きる大地震なだけに、当初は公的な支援が行き渡らない可能性がある。自分たちの力で生き延びるには何ができるのか、改めて確認する必要がある。