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全人代開幕 成長率目標引き下げの背景は?

2016年3月5日 18:57
全人代開幕 成長率目標引き下げの背景は?

 中国の国会にあたる全人代(=全国人民代表大会)が5日に開幕した。経済が減速する中、李克強首相は、新たな5カ年計画を発表し、経済成長率の年平均目標を前回より引き下げて、6.5%を維持するとの方針を示した。北京から中村光宏記者が中継。

 経済立て直しが最大のテーマの今年の全人代。李首相は、構造改革という最も困難な課題を解決させる決意を示した。李克強首相は、政府の活動報告で、今年から2020年までの新たな5カ年計画を示した。

 李首相「GDP(国内総生産)と都市・農村住民 1人あたりの所得を2010年の2倍にするためには、第13次5カ年計画期の 経済成長率は年平均6.5%を維持しなければならない」

 前の5カ年計画での成長率目標、年平均7%から引き下げ6.5%以上に設定した。

■成長率目標を引き下げた背景には何があるのか?

 中国は急激な経済成長によって多くの在庫や過剰生産設備を抱えた企業が多く、成長率鈍化の要因になっている。2年連続で年間目標に届かない中、現実的に達成できる成長率目標に引き下げる一方、「小康社会」=ある程度ゆとりのある社会の実現を掲げた。そのためには6.5%以上の成長率が必要だというわけだ。

 しかしそれも簡単ではない。李首相は、過剰な生産設備を抱えた鉄鋼や石炭など経営困難な業種を「ゾンビ企業」と呼んで、合併や清算を進めるとしている。炭鉱や製鉄所が閉鎖されると、多くの失業者を生む。こうした痛みを伴う構造改革を習近平政権は覚悟を持って進めていけるのか、まさに今、問われている。