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後世に伝えたい…宮崎駿氏、ハンセン病語る

2016年1月28日 23:50
後世に伝えたい…宮崎駿氏、ハンセン病語る

 感染力が非常に弱いにもかかわらず、かつて「不治の病」とされていたハンセン病について、後世にどう伝えていくかなどを話し合う国際会議「人類遺産世界会議」が始まり、映画監督の宮崎駿さんが特別講演を行った。

 宮崎さん「僕は多磨全生園から急いで歩けば15分ぐらいの所に住んでいます。何度か訪ねていったうちに、ハンセン病資料館に入った。これは大変な衝撃を受けた」「何度も何度も行きました。そのたびに『おろそかに生きてはいけない』と思った」

 宮崎さんは、自宅近くにある東京都内唯一のハンセン病療養所「多磨全生園」との関わりについてこのように話し、映画『もののけ姫』の制作中に多磨全生園を訪れたことがきっかけで、ハンセン病を患いながらも懸命に生きる人々の姿を映画で描いたことも明かした。

 ハンセン病は、らい菌の感染で末梢(まっしょう)神経がまひしたり、顔や手足が変形したりする病気。感染力は非常に弱く、現在では薬で完全に治るようになったが、日本では明治時代以降、国の隔離政策のもと、患者たちは強制的に療養所に収容され、外出の制限や、断種手術・堕胎手術を受けさせられた。こうした隔離政策は、特効薬ができてからも変わらず、1996年にらい予防法が廃止されるまで、40年以上も続いた。

 宮崎さんはまた、元患者たちとともに、「多磨全生園」の緑地や施設などを「人権の森」として残し、ハンセン病の歴史を後世に伝えたいと話した。

 この国際会議は、約20か国の元患者や研究者らが参加して、ハンセン病の歴史をどう保存するかなどを話し合うもので、30日まで行われる。