肥満リスク増や成績悪化も…子どもの寝不足
キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。19日は「子どもの寝不足」をテーマに日本テレビ・小栗泉解説委員が解説する。
東京都内で16日、子どもの成長や健康についてのシンポジウム「エコチル調査シンポジウム」が行われた。この中で、子どもの睡眠の状況について調査結果が発表された。
【3歳児の7%が“睡眠不足”】
昼寝を含む1日の睡眠時間を見てみると、3~5歳は10~13時間の睡眠が推奨されているが、10時間未満しか寝ていない3歳児が7%いることがわかった。つまり、この7%の子たちは、寝不足ではないかと懸念されているのだ。
何時に寝ているかというと、午後10時以降に寝ている3歳児の割合は29%となっていて、約3割の親が午後10時以降に寝かせているという。
04年度の厚労省の調査では、母親の労働時間が長いほど午後10時以降に寝る子どもの割合が高くなるという傾向も出ていて、共働きの家庭が増えていることも遅寝の子どもが多い一つの要因と指摘する専門家もいた。
【肥満のリスク増や成績悪化も】
幼児期の睡眠不足がどんな影響を及ぼすかというと、睡眠障害に詳しい国立精神・神経医療研究センターの亀井雄一医師によると、思考力や理解力など認知能力の遅れを招いたり、イライラしたり落ちつきがなくなるなど、精神症状にも悪影響を及ぼすという。また、幼児期に睡眠不足だと、将来、肥満になるリスクが高くなるという。
亀井医師によると「睡眠不足が学校に上がってからも続くと、成績の悪化にもつながることから、生活習慣による睡眠不足なら直せるので早めに取り組んでほしい」と話している。
こうしたことから学校の授業でも生活習慣を改善する取り組みが始まっている。
【早寝を促す“眠育”で欠席日数が減少】
大阪・堺市にある三原台中学校では、今年度から生徒に早寝を促す“眠育”という「睡眠教育」に取り組んでいる。授業では「睡眠を考える本」という冊子が使われ、睡眠が体や心にいかに大切かということが書かれている。
この学校では年間30日以上欠席する生徒を調べたところ、8割以上が午前0時以降に寝ていることがわかった。そこで総合学習の時間を使って、午前0時までに寝るよう指導し、中学生は1日8~9時間の睡眠が必要なことや、寝る直前のスマホやテレビは脳に刺激を与えて眠りが浅くなることなどを教えている。
“眠育”の授業や三者面談で早寝を促すことで、休みがちだった生徒の4割で欠席する日数が減ったという。
また文部科学省も今年度から、全国7自治体の学校で、睡眠アンケートや生活アドバイスをする実証研究を始めるなど、早寝早起きで体内時計をととのえる活動を進めている。
【親子でぐっすり健康に】
きょうのポイントは「親子でぐっすり健康に」。睡眠が大切だとわかっていても、特に子どもが小さいうちはなかなか寝付いてくれずに困っている方もいるだろう。
子どもの睡眠に詳しい富山大学の神川康子副学長に小さい子どもの寝かしつけのコツを聞いた。
1.毎日寝る前は決まった行動をとること。
例えば、絵本の読み聞かせやベビーマッサージなど、「こうしたら寝る時間」なんだと習慣づけてあげると寝やすくなるという。
2.足元を温めること。
足元を温めると、体をリラックスさせることができ、眠りのスイッチを入れることができるそうだ。
3.30分前には部屋を暗く
環境づくりも大事で、寝かせたい時間の30分前には部屋を少し暗くするというのも効果的だという。
こうした方法も親子で試しながら、小さいうちから健康な体づくりをしていきたい。