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イラン制裁解除で…各国が市場めぐる争いも

2016年1月18日 18:56
イラン制裁解除で…各国が市場めぐる争いも

 イランの核開発問題をめぐり、経済制裁の解除が17日発表された。国内では歓迎する声があがる中、資源も豊富で中東屈指の規模を誇るイラン市場をめぐって各国が争いを始めている。首都・テヘランから天野英明記者が中継。

 私は経済制裁解除の発表直後にテヘランに入ったが、街中で話を聞いても、誰もが口をそろえて制裁解除はうれしいと話した。

 イラン国民「これですべての問題が解決するわけではないがうれしい。特に若者の失業率などの問題は改善されると思う」

 10年近く続いた制裁でイラン経済は疲弊したが、特に若い世代からは失業率の改善など将来の生活向上に対する期待の声が聞かれた。

 経済制裁解除を受けての国際社会の一番の関心は、原油などの豊富な資源。各国はすでにイランとの経済関係の強化に動いている。

 イランは原油、天然ガスなど有数の資源大国である上、人口約7800万人という中東屈指の市場。中国は、習近平国家主席が早くも今週、イランを訪問するが、日本も貿易拡大に意欲を見せている。

 JETRO(=日本貿易振興機構)テヘラン・中村志信所長「(イランは)非常に親日国です。イラン企業・国民からすると、日本製品・商品というのはどの分野においても非常に関心があると感じております。いろんな商品にビジネスチャンスがあるんじゃないかと」

 一方でイランが表舞台に復帰することで中東地域のパワーバランスに変化が起きる可能性もある。特に、対立するサウジアラビアは警戒を強めている。イランは制裁解除の交渉をめぐり犬猿の仲のアメリカとはパイプが生まれたが、これも中東きっての親米国家サウジにとっては決して面白くはない。地域の覇権をめぐりさらに対立が深まり、中東地域の不安定化が進む恐れもあるといえる。