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ペルー大統領選 フジモリ氏の光と影

2016年1月2日 23:20

 ウマラ大統領の任期満了に伴う南米ペルーの大統領選挙が、2016年4月に行われる。フジモリ元大統領の長女のケイコ・フジモリ氏(40)が世論調査で支持率首位に立ち、激しい選挙戦が予想されている。前回2011年の大統領選で、決選投票の末に敗れたケイコ氏が雪辱を果たすのか注目される。

 ロイター通信によると、最大野党「フエルサ・ポプラル」の党首を務めるケイコ氏は、2015年12月に行われた世論調査(Ipsos調査)で、支持率33%と首位に立ち、2位のクチンスキ元首相(16%)やアクニャ前ラ・リベルタ州知事(13%)、ガルシア前大統領(8%)に大差をつけて、最有力候補とみられている。

 ケイコ氏は「インフラへの公共投資を進めてペルー経済や鉱物資源の輸出に弾みをつける」と主張しているほか、貧困対策を訴えて貧困層からの支持も集めている。

 最有力とみられるケイコ氏の戦いに影響を与えているのが、父親のフジモリ元大統領の光と影だ。フジモリ元大統領は1996年12月、首都リマにあった日本大使公邸で左翼ゲリラが人質を取って立てこもった事件で特殊部隊を突入させて人質を解放したほか、テロの撲滅や経済の立て直しに手腕を発揮した。

 その一方でフジモリ元大統領は、在職中の横領や軍が市民を殺害した事件に絡み、2009年に禁錮25年の判決を受けて今も刑務所に収監されている。

 地元メディアの報道によると、2011年にケイコ氏と争ったウマラ大統領が、フジモリ元大統領を「汚職政治家であり、殺人者」と非難しているほか、世論調査で2位につけるクチンスキ元首相もフジモリ陣営に対し「我々は15年前、腐敗した独裁政治を終わらせた。国民の金を着服する政治家を我々は望んでいない」と述べ、攻撃を強めている。

 AFP通信によると、ケイコ氏は2011年の大統領選では序盤まで父親の恩赦を公言していた。しかし、ケイコ氏は今回、父親の恩赦について発言を控え、地元メディアによると、2015年9月には「父親の政権の時には間違いや犯罪もあった」と述べ、父親と距離を置く姿勢を見せた。

 2011年の大統領選では、ケイコ氏と父親のつながりが、父親を嫌悪する有権者から反感を招き、優勢と言われたケイコ氏が敗退する要因になったと指摘されている。

 世論調査で支持率首位に立つケイコ氏が最後まで勢いを維持して2011年の雪辱を果たすのか。ペルー大統領選挙は2016年4月10日に投票が行われるが、どの候補者も有効票の過半数を獲得できない場合は6月5日に決選投票が行われる。