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どこまで下がる?原油価格

2016年1月1日 23:01

 下がり続ける原油価格。2016年、この原油安に出口は見えるのだろうか。


【需要の減少】
 原油価格が下がっている大きな要因は、需要の落ち込みだ。中国など新興国の経済が失速したことで、世界的に原油の需要が減っていて、回復のメドは立っていない。


【アメリカの動向】
 一方で、供給は増えている。特にアメリカでは「シェールオイル」と呼ばれる原油の産出が急増している。国内で原油がだぶつく状態を避けるため、アメリカはこれまでの方針を転換。約40年にわたって原則禁止としてきた原油の輸出を解禁した。

 アメリカ産の原油が国際市場に出回れば、世界で原油が今よりも余る状態になりそうだ。


【イランの参入】
 そして、2016年には国際市場に原油を供給する国がさらに増えると予想されている。イランだ。イランは核兵器開発疑惑をめぐって制裁を受けてきたが、関係国との間で、去年、制裁の解除に向けた最終合意にこぎつけた。制裁が解除されればイランからの原油の輸出が可能となり、原油価格をさらに大幅に押し下げることになるのではないかと、その影響に注目が集まっている。


【OPEC】
 こうした新たな産油国の動きによって、苦境に立されているのがサウジアラビアなど古くからの産油国だ。しかし、去年12月に開かれたOPEC(=石油輸出国機構)の総会は、価格を安定させるために減産するという策をとらなかった。

 価格競争を長期化させて“我慢比べ”に持ち込むことで、まだ体力のない新しい産油国を市場から排除する狙いがあると見られる。このため、世界的に需要と供給のバランスが取れるメドは全く立たず、原油価格の下落に出口は見えない。


【日本への影響】
 日本にとっては、原油安がプラスに働く部分は大きい。企業や家庭でも原油安に伴うガソリン安を歓迎する声が聞かれる。しかし、産油国を中心に世界の景気が冷え込めば日本経済が失速するおそれもあり、注意が必要だ。