×

2016年 与党の課題

2016年1月1日 19:22

 自民・公明両党の与党にとって、2016年最大のテーマは7月に行われる参議院選挙だ。


【夏の参院選】
 参議院における自民・公明両党の現有議席は135議席で、7月に行われる参議院選挙では自民党が衆議院に続いて単独過半数を確保するかどうかも焦点の一つになる。

 さらには、自民・公明両党と、憲法改正に前向きな「おおさか維新」とで合わせて参議院の3分の2以上となる162議席を制すれば、安倍首相の悲願である憲法改正も視野に入ってくる。

 参院選で野党側は、改選1議席の「1人区」を中心に候補者を一本化する「統一候補」の擁立を目指していて、与党側は警戒を強めている。先月には自民党の茂木選対委員長が「統一候補」の構想について「究極の談合だ」と激しく批判した。

 こうした中、注目されているのが、町村前衆議院議長の死去に伴って4月に行われる衆議院北海道5区の補欠選挙だ。町村前議長の娘婿を擁立した与党側に対し、野党側は対立候補者を一本化しようと調整している。与党候補と野党の統一候補の一騎打ちになる可能性があり、参院選の帰趨(きすう)を占う選挙として与野党共に総力戦の構えだ。


【ダブル選挙】
 参議院選挙とあわせて大きなテーマとなるのが衆議院選挙だ。衆議院議員の任期は2年後の2018年までだが、来年4月には消費税率10%への引き上げが控えている。

 自民党幹部の1人は「消費税を上げる前には、やっておこうということ」と話していて、年内の衆議院解散・総選挙も視野に入れている。

 安倍首相と与党にとっては、7月の参議院選挙に合わせて衆議院選挙を行う「ダブル選挙」も選択肢の一つになる。ただ、公明党には「選挙活動に向けるエネルギーが分散される」という理由などから、山口代表が「望ましくない」と述べるなど、強い抵抗感がある。

 与野党の支持率の動向や景気の行方などを考慮しながら、安倍首相と自民・公明両党は衆議院選挙のタイミングについて大きな決断を迫られることになりそうだ。


【軽減税率】
 目前に大きな政治決戦を控える中、4日から始まる通常国会をいかに乗り切るのかという点も、与党にとっては大きな課題だ。自民党の谷垣幹事長は1日に発表した年頭所感の中で「TPP(=環太平洋経済連携協定)対策、軽減税率など、国民にとって大事な政策については引き続き丁寧に応え、しっかり進めていく」と述べ、通常国会を「安全運転」で進めていく考えをにじませた。

 野党側は、消費税率を10%に引き上げる際に導入される軽減税率について、約1兆円に上る減税分の財源の手当が先送りされたことや対象品目の線引きが曖昧な点などを厳しく追及する構えで、激しい論戦も予想される。

 与党側は軽減税率の関連法案について、今年度予算案とあわせて年度内成立を目指しているが、いかに失点を抑えて通常国会を乗り切るのか「守りの戦い」を強いられることになりそうだ。


【財源探し】
 また、軽減税率をめぐっては、約1兆円に上る税収減の財源探しも大きな課題として残っている。自民・公明両党は、財源について来年4月までに措置することで合意しており、今年中に財源を探すことになるが、具体的なメドは立っておらず、難航は必至だ。

 また、軽減税率の議論が首相官邸主導で決着したことについては自民党内に不満がくすぶっており、今後、財源の議論が本格化すれば、こうした不満が再び表面化する可能性もある。

 全ての政策決定が首相官邸主導で進み、党の存在感低下が指摘される中、自民党の谷垣幹事長ら執行部は、いかに党内をまとめて参議院選挙に向けた態勢を整えることができるのか、手腕が試される1年になりそうだ。