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深セン土砂崩れ 背景に“急成長のひずみ”

2015年12月27日 2:04
深セン土砂崩れ 背景に“急成長のひずみ”

 中国・広東省の深センで起きた土砂崩れでは、中国政府の調査委員会が、建設現場から発生した大量の土が崩れた「人災」と認定している。この土の出元を追うと、急成長する中国でのひずみが見えてきた。

 事故から6日がたった26日、深センの現場では、土砂崩れが発生した時刻に合わせて地元当局者や住民らが追悼を行った。今でも70人以上の行方がわかっておらず、その多くは現場の工業区で働いていた地方からの出稼ぎ労働者だった。

 現場近くの工場で働く湖南省の山間部出身の男性は25年以上、出稼ぎ生活を送っている。男性は同じく出稼ぎで来ていた知り合いが巻き込まれたという。

 出稼ぎ労働者の男性「私たちも心苦しい。(不明者の家族を)支援したいが余裕がない」

 1か月のうち休みはわずか2日だが、収入は日本円で月6万円ほどで、個人に与えられた場所は2段ベッド一つだけしかない。中国の経済発展を支える出稼ぎ労働者。土砂崩れは、急成長のつけを経済的な弱者が負わされた形だ。

 今回の土砂崩れの原因は建設残土だった。この土がどこから出たのかを探るため、深セン中心部に向かった。土砂崩れ現場から30キロほどの、多くの買い物客でにぎわう町並みの中に、大量の土砂が発生した原因があった。深セン中心部で開発中の地下鉄の新たな線の建設現場から出た建設残土が、土砂崩れの現場に運ばれていたという。

 深センは中国第4位の経済規模を誇り、今年も8.5%の成長を見込むなど大きな伸びを見せる。地元政府は5年後には地下鉄の路線を現在の倍以上にする計画を立てているが、街の成長にインフラ整備が追いついていないのが現状。都市が成長する、いわば、ひずみで起きた惨事に、政府側の管理能力を問う声が高まりそうだ。

★深センのセンは「土」へんに「川」