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眞子さま中米訪問の印象を文書で寄せられる

2015年12月15日 22:57
眞子さま中米訪問の印象を文書で寄せられる

 今月12日に初めての外国公式訪問である中米のエルサルバドルとホンジュラスから帰国した秋篠宮家の長女・眞子さまが15日、その印象を文書で寄せられた。以下、全文。


 エルサルバドル国及びホンジュラス国両国の訪問を終えての印象

 「外交関係樹立80周年」および「日・中米交流年」という節目の年に当たり,エルサルバドル共和国政府ならびにホンジュラス共和国政府のお招きにより,両国を訪問できましたことを誠に嬉しく思います。今回は,私にとりまして初めての海外公式訪問でした。訪問中は,それぞれの国の大統領ご夫妻を始め,関係された多くの方々から温かい歓迎と様々なご配慮をいただき,心より感謝の気持ちを表したく思います。両国の人々の優しいまなざしと笑顔は,私の心に深く残りました。

 最初の訪問国であるエルサルバドルにおいては,サンチェス・セレン大統領閣下への表敬に続いて,同大統領閣下主催の午餐会に出席したほか,外交関係樹立80周年を記念する生け花展やエルサルバドルの伝統芸能を鑑賞いたしました。同じ会場で日本の文化とエルサルバドルの文化に触れる良い機会となりました。
 そして,首都のサンサルバドル市と訪問したサンタアナ市では,市の鍵および貴賓証書をいただきました。そのサンタアナ市では本年,80周年を記念する様々な行事が多くの市民の出席を得て行われましたが,それらが行われた国立劇場を見学した後に,市長主催の午餐会に出席いたしました。
 首都においてサンサルバドル大聖堂を訪れた際には,内戦中に貧困層の人々の味方であり続け殉教したロメロ大司教へ供花するとともに,困難を経て和平を達成したエルサルバドルの歴史に思いを馳せました。エルサルバドルの最近の美術が展示されているエルサルバドル美術館や,国民的画家であるフェルナンド・ジョルト氏の作品が見られるジョルト展示館では,この国の芸術にふれることができました。
 中米大学では,日本語学科の学生とお話しをした後,同大学の耐震センターにて,日本の協力によって進められている,日干し煉瓦で作られた住居の耐震化についての知見を得ることができました。マヤ文明のホヤ・デ・セレン遺跡では,火山灰の下から発見された建物跡のご説明をお聞きしながら,当時の食事や習慣等を知ることができました。6世紀後半にここに住んでいた人々のことが,何か身近に感じられるような気がするひとときでした。

 つづく訪問国のホンジュラスでは,エルナンデス大統領閣下への表敬に続いて,同大統領閣下主催の晩餐会に出席いたしました。とくに大統領令夫人には,多くの視察先や行事に同行してくださるなど,さまざまなお心遣いをいただきました。
 今回訪れた首都のテグシガルパ市とコパンルイナス市からは,市の鍵及び貴賓証書をいただきました。最初に訪れたコパンルイナス市においては,マヤ文明のコパン遺跡を日本の最新技術によって多角的に体験できるコパン・デジタル博物館の開所式に出席いたしました。この博物館ならびに石彫博物館,そして考古学研究地域センターで得た予備知識をもとにコパン遺跡そのものを間近に見た際には,数々の彫刻のご説明をお聞きしてその芸術性や文字文化に感銘を受け,目の前に広がる壮大な遺跡がかつて鮮やかな赤であったということに,改めて驚きを覚えました。
 その後に訪れたテグシガルパ市では,市長主催の午餐会に出席いたしました。本年は,青年海外協力隊派遣取極締結から40周年に当たりますが,それを記念する式典では,隊員の活動報告やパフォーマンスとして行われた力強い舞踊や歌を鑑賞することができました。また,ナショナル・アイデンティティー博物館では,国の歴史についての展示を見学しましたが,展示の充実とともに,この場所を人々の交流の場とするための取り組みについても伺い,博物館のあり方について考える機会にもなりました。旅の最後の行事である国立音楽学校での外交関係樹立80周年を記念する歓迎コンサートでは,日本とホンジュラスの曲の演奏と歌を楽しみました。

 エルサルバドル,ホンジュラスとも,JICA関係者を含む当地在留の邦人,そして日本と関わりの深い現地の方々とお会いする機会がありました。活動している地域のホームステイ先のご家庭で,家族の一員のように可愛がってもらっていると言っていた青年海外協力隊員の言葉を想い出します。困難なことも数多くありながら,人々の優しさについて語る皆さまの笑顔に,心温まる思いがいたしました。今回行く先々で色々な方とお会いしましたが,必ず伝えて下さるのは,JICAの活動を始めとする日本の貢献に対する深い感謝の気持ちでした。その度に,種々の取り組みが実を結んでいることを改めて感じ,大変嬉しく思いました。そのほかにも様々な分野で,日本とエルサルバドル,ホンジュラス両国を繋いでいる人と人との絆を,強く感じました。

 エルサルバドルとホンジュラスは同じ中米の国ではありますが,それぞれ違った魅力が伝わってまいりました。そして,いずれの国でも人々の優しさと温かな心が伝わってきたことは,誠に印象的でした。今後とも,日本とエルサルバドル,ホンジュラス両国が寄り添える関係でありますよう,そして両国との友好親善関係がますます深まりますよう,願っております。