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温暖化、フランスで起きている“異変”とは

2015年12月11日 16:15
温暖化、フランスで起きている“異変”とは

 フランスで開かれている国連の会議「COP21」。温室効果ガス削減の国際的な枠組みの合意に向け、各国の調整が続いている。その開催国のフランスでも“ある異変”が起きていた。

■住めなくなる家

 フランスの北部にあるノルマンディー地方。海に面した地域では、海岸線に沿って、切り立った崖が続く。石灰石のもろい地質の崖が続く地域で、長年ここに住む男性は、崖の崩れ方が以前に比べ激しくなったと話す。

 「1950年代からここに住んでいます。あの上も崩れたし、むこうの方もたくさん崩れている」「何メートルも浸食が進んでいるので、断崖付近は歩いてはいけない」

 この一帯は、もともと海水に浸食されるなどしてつくられた地形。しかし、地球温暖化による海面上昇で、波が崖に当たりやすくなったことなどから、近年、浸食が進んでいるという。崖の上に住んでいる女性はこう話す。

 「あちら側に見える家は危なくて、すでに立ち退いた人たちもいます」「断崖は危なくて、これ以上散歩することができません」

 住民の中には、すでに立ち退いた人もおり、今後、さらに住めなくなる家屋が増える見通しだ。

■ワインの味が変わる

 地球温暖化は地形だけでなく、生態系などにも深刻な影響をもたらすと懸念されている。影響はフランスの名産品にも及んでいる。フランス・シャンパ―ニュー地方の村―この地方で厳密な製法に従って作られたものだけが名乗ることができる「シャンパン」。200年以上続くシャンパン農家の7代目、ドミニク・ルラージュさんは近年、ある異変に気づいたという。

 「夏にとても暑い時期がある。以前はこんなことはなかった。5~7月に雨が降らないんです。日差しが強いので、実が成長する時間が短縮され、収穫が早まりました」

 さらに、その「味」にも変化が―ブドウの酸味が弱くなり、甘みが強くなってきたというのだ。地球温暖化は、こうした変化の要因のひとつともされており、このまま温暖化が進めば、ブドウが収穫できなくなる地域が増えるのではないかと指摘されている。

■温室効果ガス、どこまで削減できるか

 徐々に進みつつある地球温暖化。国連の世界気象機関は、世界の平均気温が今年、観測史上最も高くなる可能性が高いと発表した。

 どうすれば地球温暖化を食い止めることができるのか。現在、開かれているCOP21では、2020年以降の地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減策がテーマで、参加する195のすべての国と地域が参加した形での合意を目指している。

 しかし、先進国と途上国との間で温室効果ガスの削減目標や資金面などでどのような差をつけるかなど、課題は少なくない。合意に向け、ぎりぎりの交渉が続けられている。