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米露協調の兆し“2つのテロ”きっかけに

2015年11月18日 19:31
米露協調の兆し“2つのテロ”きっかけに

 フランスで起こった同時テロが世界に衝撃を与える中、「イスラム国」との戦いをめぐる各国の姿勢に変化の兆しがあらわれている。フィリピンで始まったAPEC(=アジア経済協力会議)でも議題となる見通し。

 本来は経済協力について話しあうAPECだが、パリの同時テロを受けて急きょ、テロ組織の資金源を絶つ方法についても話し合うことになった。

 「イスラム国」を壊滅しなければならないという点では共通しているが、シリアのアサド政権を支援するかどうかをめぐってアメリカとロシアは激しく対立している。

 ところがアメリカのオバマ大統領は18日朝、「この数週間というもの、ロシアは建設的パートナーとなり続けている」と発言し、条件が整えばロシアと協力する可能性に含みをもたせた。

 なぜアメリカの姿勢に変化が表れているのか。

 パリの同時テロ、そして同じく「イスラム国」が行ったロシアの旅客機の爆破という「2つのテロ」が、皮肉にも両国の距離を近づけていると言える。

 ロシアが行っている空爆は、その対象が「イスラム国」とは異なる、と批判されてきた。ところが、旅客機爆破テロを受けロシアは、「イスラム国」が“首都”と位置づけるラッカを集中的に攻撃した。「イスラム国」がターゲットであることを明確にした形。

 また、プーチン大統領は同じテロの被害者であるフランスと共同作戦を行うことも明らかにした。「イスラム国」が支配地域の外でテロを行うという、これまでとは次元の異なる段階に入ったことに、アメリカ政府も危機感を強めており、これまで以上に待ったなしの対応が求められている。

 来週にはフランスのオランド大統領がオバマ大統領、プーチン大統領と会談する。新たな連携の形が生まれるきっかけとなるのかが注目される。