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お参りより写真?変わる七五三 衣装も変遷

2015年10月22日 1:12
お参りより写真?変わる七五三 衣装も変遷

 キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。21日は、「変わる七五三」をテーマに日本テレビ・小栗泉解説委員が解説する。

 ■七五三の歴史

 来月15日は「七五三」ということで、そろそろ晴れ着姿の子どもたちを見かけるようになった。國學院大學の小川教授によると、七五三は「平安時代の公家たちが行っていた儀礼がもとになっている」という。それがその後、江戸時代にかけて、3歳に髪を伸ばし始める「髪置きの祝い」、5歳の男の子が袴(はかま)をつける「袴着」、7歳の女の子が着物を付け紐(ひも)ではなく帯を締めて着る「帯解」という祝いが広がり、まとめて「七五三」となった。

 ■傾向かわる近年

 七五三は、子どもが無事に成長したことを確認する儀礼だったのだが、最近は、少しずつ傾向が変わってきている。七五三をした人への去年の調査によると、「神社へのお参り」をした人がおよそ83%だったが、一番多い93%が何かというと、「写真館で撮影」をした人と、今では記念撮影の方がメーンイベントになってきている。

 ■時代とともに変わる衣装

 さらに七五三といえば、やはりおめかしした子どもたちの姿が印象的だが、この衣装も、時代と共に変化している。女の子は、赤やピンクの定番の色が主流で、鞠(まり)や花など古典的な柄が人気だという。そして男の子は、黒などの落ち着いた色味で兜(かぶと)や龍などの柄がよく出ているという。こうした衣装が、時代と共にどう変わってきたのか。

 昭和7年ごろの、日本テレビにある一番古い七五三の映像を見ると、洋服の子も和服の子もどちらも多い印象。こうした七五三の衣装について、都内の服飾専門学校・清水学園では、戦前から調査を行ってきた。清水とき理事長(91)によると、「七五三の衣装は、景気や世相を反映している」という。

 例えば、第二次世界大戦が始まった昭和14年には、男の子は軍服、女の子は看護師の姿で参拝する様子が見られた。戦後間もないころの女の子の着物は、物がなかった時代なだけに、何と、風呂敷で作ったものもあったという。

 ■衣装は景気でも変化

 さらに調査では、景気がよければ和服を着る人の割合が高くなるという結果も出ている。例えば、万国博覧会が行われた昭和45年、高度成長期まっただ中の時は、7歳の女の子を見ると、9割が和服で、高価な素材が目立ったということだが、オイルショックが影響した昭和50年には和服は5割に減り、素材もポリエステルの安い物が多くなったそうだ。

 そして平成に入ってからは和服が8割以上で推移しているが、最近はほとんどがレンタルで、色も形も画一化される傾向があるという。

 ■きょうのポイント

 きょうのポイントは、「成長を確認する」だ。7歳というのは、かつては「7つ前は神のうち」とされ、7歳になって初めて社会的に何らかの役割を持つ“人”として認められてきた区切りの年齢。いまや七五三は、写真を撮る「子どもや親の思い出づくり」が主になっている傾向があるが、子どもの成長を確認する節目の時ということも忘れないようにしたい。