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傾斜問題「セメントミルク」量も改ざん

2015年10月17日 1:09
傾斜問題「セメントミルク」量も改ざん

 横浜市都筑区の大型マンションが傾いた問題で、16日夜も住民説明会が開かれ、杭(くい)を打つ作業をした旭化成建材の前田富弘社長が初めて出席し、謝罪した。さらに、他にも偽装が行われていたことが明らかになった。

 施工会社の担当者「本日、また別のデータの転用の事実が私どもの方で確認いたしました。今度は地固め。セメントミルクを注入するものに対する改ざんであります」

 一体、どういうことなのか。一般的に杭を打ち込む工事ではまずドリルを使って掘削。そして、杭の根本と側面を固定するため、セメントと水を混ぜたものを流し込む。これをセメントミルクという。そこへ、杭が打たれる。しかし、今回はこのセメントミルクの量のデータも、改ざんされていたというのだ。

 その数はマンション全4棟の杭473本のうち、3棟の45本に及ぶ。内訳は、傾いたウエストコートで4本。センターコートで36本。サウスコートに5本と別の棟に集中していた。

 16日夜、説明を受けた住民に新たな偽装に衝撃が走った。

 施工会社の担当者「改ざんが行われたものをブルーの丸印で表しています」

 住民「ほとんどじゃん」

 施工会社の担当者「全部で45か所になっています」

 住民「えーっ」

 説明会は騒然とした。

 住民「きょうは最後の結果だっていうのに、これじゃどうにもならないじゃないか」「このままだと建て替えできないじゃないですか。壊したって杭どうするんですか。抜くんですか!?」

 新たに発覚したセメントミルクの量のデータ改ざんについて、専門家の構造設計一級建築士・佐藤実さんは「簡単にいうと、杭と穴との間に隙間があいた状態で、(杭が)位置しているようなものなんですよ。耐震性能が建物にとって低下することになるでしょうから。(地震の時に)隙間分だけ建物が大きく揺れたり、または、杭が折れてしまったりすることもある」と話す。

 旭化成建材の親会社、旭化成によると、何らかの理由でデータが取得できなかったため、他の杭のデータを転用したり改変したりしたという。

 また、住民説明会で杭が固い地盤に届いていなかった問題について、旭化成建材の前田富弘社長は驚きの説明をした。

 前田社長「私どもの推測ですけど(現場の担当者に)悪意があったとしか思えない。ある程度、認知しながらそれを隠すためにやった隠蔽(いんぺい)工作があると」

 推測だとした上で、担当者に「悪意があった」というのだ。

 そして16日午後10時半頃、前田社長が取材に応じた。

 前田社長「きょうの住民のみなさま方にはデータのチェック、ヒアリングについても旭化成のチェックだけではダメだという話。第三者機関というか外部の方の調査をさせていただくと。(Q:背景にはどんなことがある?)まだ背景までは推察をしかねておるところ。単なるミスではなく、ある意味、悪意があって、何らかの施工記録を隠すために行ったということは断定できませんけど。少なくとも8本(の杭)に関して、我々の推測ではありますけど、かなり(悪意のあった)可能性が高い」

 また、データが偽装された杭は、支持層に届いていなかった杭も合わせて70本に及ぶことを明らかにした。