×

カンボジアで見た“極度の貧困”発展の陰に

2015年10月16日 20:01
カンボジアで見た“極度の貧困”発展の陰に

 9月に行われた国連の「世界の貧困問題」などについて話し合う開発サミットでは、世界で8億人以上いるという極度の貧困層を2030年までにゼロにするなどの目標が設定された。1日約150円以下で暮らす極度の貧困層。その現状をカンボジアで取材した。

【家の前で“点滴”を打つ人】
 カンボジアの首都・プノンペン。約150万人が住むカンボジア最大の都市だ。ここ数年、毎年約7%の経済成長を続けるカンボジア。プノンペン中心部ではホテルなども建設ラッシュを迎えている。

 しかし、発展するプノンペンには違った一面も存在する。プノンペン中心部近くの町ではゴミが回収されることなくあふれている。以前はゴミ集積場があった地区。いまも捨てられるゴミの中から売れるものを拾うなどして暮らしている人もいる。

 1日約150円以下で暮らす極度の貧困層。カンボジアではこうした貧困層が多く住む地区が点在している。町を歩くと家の前で点滴を打つ人の姿もあった。「入院したりするとベッド代がかかったりするので行けません」と語るこの男性。お金がなかったため満足な治療を受けることができなかった。

【水も電気もある、しかし―】
 プノンペン郊外のほかの地区でも同じ問題を抱えている。

 住民の女性「衛生状況は良くない。病気の子どもがたくさんいるけど、病院に行くと高い」

 家族4人で1日、約600円で生活しているというこの女性は、経済発展に伴い出費がさらに多くなったと話す。

 住民の女性「ここに住んで10年になる。以前は水も電気もなかった。今は水や電気はあるけど、物価も電気代も上がっているし、生活は金銭面で苦しくなっている」

 貧困は地方部でも深刻だ。都市部に比べ、さらに所得水準が低い地方の農村部。農村部では物価上昇などで現金が以前より必要になっているものの、収入は増えていないという。

 農村の女性「農作業を早く済ませるには機械が必要だが、機械を借りるにはお金が要る。以前と比べて出費は増えている」

 農村部では貧しさから子どもを育てることができず、都市部の施設などに引き取ってもらうことも少なくない。

【貧困の連鎖、どう断ち切るのか】
 プノンペンにある施設ではそうした農村部などから来た子どもたちを受け入れている。子どもたちは、この施設から学校に通い、独立するまで集団で生活する。

 施設に入居する少女「(Q:将来は何をしたいですか)銀行で働きたいです」「お給料が高いので生活が楽になります」

 施設の責任者「田舎ではお金がなく、子供を学校に行かせる事ができません。カンボジアでは、その種の貧困による問題がたくさんあります」

 プノンペンで貧しい地区の子どもたちのために運営されている学校の教師は、貧困の連鎖を断ち切るために教育が必要だと話す。

 教師「学校に通わないと、いろんなことが分かりません」「教育を受けて仕事が見つかれば、貯金をして家族を助ける事ができます」

 発展の陰に根強く残る貧困問題。解決に向け、国際社会を含めた具体的な対策が問われている。