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外国人労働者“受け入れ”の現場、課題は?

2015年10月2日 16:13
外国人労働者“受け入れ”の現場、課題は?

 日本の建設現場などで外国人労働者を見かける機会も増えているが、実は彼らの多くは、実習生として働いている。高齢化が進み、建設現場などでは労働力不足が深刻化してきた日本。“外国人労働者”をめぐる現状と課題とは―小林万里記者が取材した。

 埼玉・新座市にある建設中のドラッグストア。そこで内装工事をしていたのは、去年7月に来日したベトナム人・ズオンさん(25)。ズオンさんは技能実習生で、片言ながら日本語を話し、指導員のアドバイスを受けながら作業を進めている。

 ズオンさん「見ると簡単だと思ったけど、やってみると難しいです」

 指導員・吉野さん「子どもたち(実習生)が、断熱材を入れたんです。壁と天井も」「要領悪いけど、一生懸命やってる」

 ここで作業するベトナム人は3人。いずれも「外国人技能実習制度」で日本に来ている。「技能実習制度」とは、ベトナムなど発展途上国の労働者を最長3年間、日本の企業で受け入れ、技術や知識を身につけて帰ってもらうという制度だ。実習生とはいうものの雇用する側にとっては貴重な戦力。日本は現在、17万人近くの技能実習生を受け入れている(2014年12月時点)

 ズオンさん「日本が好きです。日本の技術は、たぶん、世界で一番だと思っています。日本に来て、日本の技術を勉強したかった」

 ここでは、日本で働く技能実習生のために、日本語の授業が行われている。日本に来たばかりのキーさん(28)は、「日本は技術が高いし、仕事はいいし、それで私は日本の技術を勉強したい」と話す。

 高齢化が進む日本。建設現場などでは労働力不足が深刻となっている。政府は2020年までの時限措置として、建設現場での外国人実習生の受け入れ期間を3年から5年に延ばすことを決めた。ベトナム人実習生を指導する「圏友協同組合」の事務局長はこう話す。

 平井事務局長「慢性的な労働者不足というところがあると思います」「働き手がほしいというニーズは、今後、東京オリンピック以外のところでも増えてくるのではないか」

 一方で、技能実習制度をめぐっては問題も指摘されている。悪質な業者が不当に安い賃金や長時間労働などを強いるケースもあるという。

 日本総研・野村主任研究員「受け入れる側の日本企業も、そういう企業ばかりではないが、多くの企業が安い賃金で労働力を確保できる手段だと考えている」

 平井事務局長「送り出し機関があって、監理組合があって、受け入れ企業があるという三角形の中で、どこかがお金稼ぎをしようとすると、一番つらいのは実習生だと思うんですね」「その実習生の未来を考えてくれている受け入れ企業というのが、絶対だと思います」

 技能実習制度を拡大し、経済の活性化を図っている日本。どうすれば透明性の高い制度にできるのか、改めて議論が求められている。