×

新型プリウス“アメリカで初披露”の背景

2015年9月18日 16:47
新型プリウス“アメリカで初披露”の背景

 トヨタが8日、発表した新型のプリウス。しかし、その発表の場は日本でなくアメリカだった。なぜアメリカを選んだのだろうか。

 アメリカ・ラスベガスのイベント会場。派手な演出の中、登場したのは、トヨタ・プリウスの新型車だ。世界で初めてここアメリカで披露されたプリウスは6年半ぶりの全面改良となり、大胆なデザインで来場者の注目を集めた。日本の基準ではガソリン1リットルで40キロ走ることを目指している。

 木村記者「現在のモデルより幅が広くなり、車体も長くなったため、車内の空間は広くなったということです」

 プリウス チーフデザイナー・児玉修作氏「環境車でも我慢しないデザインをつくり上げたいと、誰が見てもかっこいい、乗りたいと思う車をつくりたかった」

 トヨタは、1997年にプリウスを発売して以来、ハイブリッド全車種の世界の販売台数が約800万台を突破したが、その半数近くは日本で売れている。そんな大切な市場である日本ではなく、アメリカで今回の発表を行ったのはなぜなのだろうか?

 プリウス チーフエンジニア・豊島浩二氏「アメリカも日本と同じメーンマーケット(重要な市場)でございますので、この情報は日本も駆け巡るということもございますので、今回、アメリカで発表させていただきました」

 アメリカの新車販売台数は日本の約3倍ある上、景気回復で市場が拡大しているため、アメリカで印象づけた方がメリットが大きいと判断したとみられる。ただ、それだけではない。アメリカでいま販売が伸びているのは「高級車」や「大型車」ばかり。実は、プリウスは“苦戦”を強いられている。自動車販売店で事情を聞くと―

 トヨタ マンハッタン店 ジョージ・リオス店長「ガソリン価格が下がるにつれて、燃費は重要ではなくなり、プリウスの販売数は下がっている」

 アメリカでは、原油価格の下落を受け、去年半ばからガソリンが大幅に安くなった。それに連動するようにプリウスの販売台数も減少している。さらに、アメリカではエコカーの中で電気自動車の存在感が増し、販売台数を伸ばしている。

 去年、アメリカで最も売れた電気自動車「リーフ」を販売する日産は、10日、走行距離が伸びた新たなモデルをこちらも世界に先駆けてアメリカで発表した。

 北米日産 チョン・メン氏「リーフにとってアメリカはとても大事な市場です。電気自動車はハイブリッド車より政府からの補助金が多くもらえます。リーフの話題が増え、売り上げが伸びると期待しています」

 一方、アメリカで販売する車の98%を北米で製造するなど、アメリカが“最重要の市場”と語るホンダもいま売れているのは大型車ばかり。しかし、今後もエコカーを次々に投入すると話す。

 アメリカホンダ 小林英莉子広報担当「2016年には新型燃料電池車、そして2018年までに新型EV(電気自動車)、新型プラグインハイブリッドを投入する予定です。長期的に見ると、エコカーは拡大していく市場ですので、私たちも力を入れて取り組んでいます」

 各メーカーは巨大なアメリカ市場でのエコカーの販売数をのばすことに懸命だ。そのためには新車の発表に際してもより存在感を際立たせる戦略が求められている。