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鬼怒川決壊地点住民に避難指示・勧告出さず

2015年9月13日 0:58
鬼怒川決壊地点住民に避難指示・勧告出さず

 茨城県常総市の大雨被害で、鬼怒川の決壊地点がある三坂町・上三坂地区の住民に対して、堤防が決壊する前に「避難指示」も「避難勧告」も出されていなかったことが分かった。

 鬼怒川の堤防の決壊は、10日午後0時50分頃に、常総市三坂町で発生した。三坂町のうち、決壊地点の下流となる「中三坂上」と「中三坂下」の2地区には、決壊の2時間半ほど前に市が避難指示を出していた。しかし、決壊地点がある「上三坂」地区など残りの地域には、決壊する瞬間まで、避難指示も避難勧告も出されなかった。

 上三坂地区は、決壊直後から濁流にのまれ、多くの住民が救助を待って孤立した地区。なぜ上三坂地区には避難指示を出さなかったのかについて、常総市の担当者は、「明確な理由はつかないが、抜け落ちてしまった」「行政の落ち度だ」と話している。

 こうした中、常総市では徐々に水が引き始めたものの、今も17カ所の避難所で4260人が不自由な生活を強いられている。依然として15人が行方不明のままで、警察などは2000人以上の態勢で捜索を続けた。12日夕方からは、2つの避難所に「行方不明相談窓口」を開設し、市の職員と警察が市民の相談に応じている。

 一方、入院患者らが孤立状態となっていた常総市にある「水海道さくら病院」では、消防によって残る39人全員が救助された。浸水被害にあった住宅では、日が暮れた後も住民たちが後片付けに追われた。今もなお停電が続いているため、車のライトがたかれていた。

 東京電力によると、常総市では約1万1200戸が停電となっていて、復旧作業が急がれている。また、市の全域で断水も続いており、市民生活の回復の大きな支障となっている。