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モスルを奪還せよ!「イスラム国」支配1年

2015年6月12日 17:16
モスルを奪還せよ!「イスラム国」支配1年

 過激派組織「イスラム国」が、イラク北部の都市モスルを制圧してから今月10日で1年となった。今も続いている「イスラム国」の脅威。天野英明記者が“モスル奪還”を目指す動きを取材した。

 ちょうど1年前に「イスラム国」が制圧したモスル。約200万人が暮らすイラク北部最大の都市だ。住民によると「イスラム国」は、人々に街から離れることを禁止した上で、極端に解釈したイスラム法を守るよう強制し、従わないものは殺害したり、投獄したりしているという。

 今年4月、そのモスルの近くに、ある訓練キャンプが設営されていた。

 天野記者「ここはモスルから15キロほど離れた場所です。あちら訓練が行われています。すごい数の人たち…」

 そこでは数百人の迷彩服を着た人たちが射撃訓練を行っていた。

 訓練の参加者「モスルから来ました」「モスルを『イスラム国』から奪い返すために来ました」

 参加していたのは、モスルから逃げてきた市民。多くの市民が志願兵として、奪還作戦に加わろうと訓練をしていた。

 このキャンプは、モスルを中心都市とするニナワ県が設営したもので、元イラク軍人や、隣国トルコの兵士らが訓練指導にあたっている。銃の使い方もままならない市民だが、撃った弾が目標にあたったのかを教官が厳しくチェックする。目標を外した人には居残り訓練が待っている。

 マハムド・アルソギ報道官「ここでは現在750人が訓練を受けています」「みんなひとつになって、モスルを解放することだけを目標にしています」

 この訓練キャンプには近々、イラク軍の本隊も加わる予定だという。モスル奪還を目指すのはイラク軍だけではない。クルド人部隊「ペシュメルガ」も作戦に参加する予定だ。

 イラク北部で自治が認められているクルド人。その自治区と、「イスラム国」の支配地域とは実に1000キロ以上にわたって境界を接している。モスルから「イスラム国」を追い払うことは、クルド人自治区の安全保障のためにも不可欠なのだ。

 クルド兵士「あの森の先が『イスラム国』の支配地域です」

 15万人以上の兵力を誇り、「イスラム国」と対峙するペシュメルガ。この前線近くにも戦闘の痕跡があった。

 天野記者「このあたりもまだ戦闘が続いていまして、あちらオレンジ色の毛布にくるまれているのが、きのう殺害されたイスラム国戦闘員の遺体だということです」

 ペシュメルガの司令官がある装置を見せてくれた。

 シルワン・バルザニ司令官「『イスラム国』はこんな道具を使い、我々の行く手を阻んできます」「これまでに5500個ほど見つかりました」

 それは「イスラム国」支配地域とクルド人自治区の境界付近に仕掛けられていた時限爆弾で、携帯電話と連動して、爆発する仕組みだという。ペシュメルガは、こうした爆発を防ぐため、電波を遮断する特殊な装置をスイスから大量購入し、モスル奪還作戦に備えていた。

 シルワン・バルザニ司令官「指令があれば、いつでもモスル奪還作戦を行える」

 また、この日はペシュメルガのトップと、アメリカなど有志連合による作戦会議を取材することができた。カメラが入るのは前例がないという。会議では、スクリーンに地図を映し、モスルをどのように攻略するかを話しあっていた。出席者によるとペシュメルガは、モスルの北側と東側から一気に中心部に攻め入る方針だという。

 現在イラクでは、西部アンバル県を「イスラム国」から奪い返す作戦が行われている。モスルの奪還作戦が始まるのは、まだ先になるとみられているが、それぞれの勢力は、“来たるべき時”に備え、着々と態勢作りを進めている。