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米と関係改善へ、キューバの狙いとは?

2015年4月17日 17:05
米と関係改善へ、キューバの狙いとは?

 今月11日、アメリカのオバマ大統領とキューバのカストロ議長が、1961年の国交断絶後初めてとなる首脳会談を行った。国交正常化に向けて、関係改善を模索するキューバ、そこにはある狙いがあった。

 キューバの首都・ハバナでひときわ目を引くのは、色とりどりのアメリカ車。1950年代に作られた車が今でも現役の観光タクシーとして人気を集めている。こうしたハバナの風景にここ数年、変化がみられるようになった。真新しい黄色いタクシーが目立ちはじめている。特に多いのが中国車だ。

 中国車にのるタクシー運転手「8か月前から乗っています。レンタカーで使用されていた中古車です」

 取材したレンタカー店でも3年ほど前から、中国車を使っている。

 レンタカー会社の経営者「安い値段で取引しています。ディーラーもキューバ国内には無いと思います」

 共に共産党政権と体制が近いことから、友好関係にあるキューバと中国。キューバの輸入相手国第2位が中国だ。(1位はベネズエラ。2013年 アメリカCIA調べ)

 街ではこんな光景も―

 レンタカー会社の担当者「バッテリーの問題です。今ここで壊れました」

 2年前に新車で入ってきたという車。試運転させようと車庫から出したところ、バッテリーの不具合が見つかったという。大型観光バスも中国製だ。

 バスの運転手「長距離はきついですね。いすの座り心地は良くないし…」

 値段は安いものの、その品質には不満の声も聞かれた。

 また、新たに建設中の開発特区に対する投資もブラジルと共に中国が中心となっている。アメリカの経済制裁が続くキューバでは、中国の存在感が増している。

 こうした中、進み始めたアメリカとの交渉。アメリカとキューバの歴史的な首脳会談が実現した。キューバがアメリカとの国交正常化を目指すのは、慢性的に厳しい経済状況を改善したい狙いがある。

 特にキューバが力をいれているのが「葉巻」。世界的にも評判の高い葉巻を巨大なアメリカ市場に売り込み、外貨を獲得したいと考えている。葉巻はどのようにつくられているのだろうか?

 ハバナ市内から車で、約2時間の村に向かうと、そこに広がっていたのは、青々としたタバコ畑。祖父の代から農家を営むマヌエル・ダコさんを訪ねた。

 ダコさん「葉は15日かけて収穫します」

 収穫はすべて手作業。農薬はほとんど使用していない。収穫した葉は小屋に運び、乾燥させる。乾燥させた葉は政府が買い取るため、収入が安定しているダコさんは、7人を雇い、公務員の平均月収の4倍近い給料を支払っている。給料がよいため、都市から戻ってくる若者も多いという。

 ダコさん「葉巻はキューバ経済を支えるものです」

 先月、葉巻の生産状況を見学するため、アメリカの農業関係者が視察に訪れた。国交正常化交渉が始まってからはじめての大規模な視察団となる。

 アメリカの農業関係者「どの銘柄のタバコを買うのがおすすめですか?」

 キューバ側も視察団1人1人に葉巻を配る、力のいれようだ。

 アメリカは国交正常化交渉が開始したことをうけ、制裁の一部を緩和し、個人使用に限り最高で100ドル相当の葉巻をキューバから持ち帰ることを認めている。キューバ側の期待も膨らんでいる。

 キューバ農業組合代表「もっと生産して、アメリカに葉巻を買ってほしい」

 キューバに対するテロ支援国家の指定を解除することを認めたオバマ大統領。国交回復への弾みとなり、経済制裁の緩和は実現するのか。新たなビジネスチャンスをめぐりキューバ、アメリカ双方から熱い視線が注がれている。