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“人質殺害”政府の対応は?政治部長が解説

2015年2月1日 23:10

 イスラム過激派組織「イスラム国」とみられるグループによる日本人人質事件で、日本時間1日早朝、「イスラム国」系のウェブサイトに二人目の日本人男性を殺害したとする新たな映像が掲載された。この人質事件についての日本政府の対応や今後の課題などについて、日本テレビ政治部の伊佐治健部長が「真相報道バンキシャ!」で解説した。

 (Q.日本人人質の殺害を政府は予想していたか?)

 -直接、口には出さないが最悪の展開が視野に入っていることは伝わってきた。安倍首相、菅官房長官が「厳しい状況」という言葉を連発していたのもその表れ。一方で、ヨルダン政府を通じた「捕虜交換」の形が浮上したときには本当にわずかだが、政府内には期待もにじんでいた。

 (Q.日本政府の対応は?)

 -今回、日本政府の対応には2段階あった。まず昨年8月と10月、二人が行方不明になったことを受けて、首相官邸と外務省、さらにヨルダンに対策拠点を設けた。ただ、情報も人脈もない中でやれることは限られていた。そんな中、今年1月20日のメッセージは不意を突かれた形だった。「イスラム国」側からの脅迫は政府として把握していたが、安倍首相の中東訪問に対して「イスラム国」サイドがどう反応するか、十分に検討されていなかった可能性がある。

 (Q.「人命第一」という対応は難しいことだったか?)

 -人命第一だが、政府内にはローリスクハイリターンの国とみられたくないという思いがあった。軍隊から反撃にあう危険もなく、お金だけは払う国と思われるのは避けたかった。一方で、今回殺害されたとみられる男性の妻のメールで犯人グループと直接やりとりする発想もはじめからなかったようだ。「テロリストに屈しない」というのは「交渉しない」「取引しない」という意味でもある。

 (Q.安倍首相が語った「テロリストたちを決して許さない。その罪を償わせる」とはどんな意味か?)

 -政府関係者にすぐ真意を確認したが、決して有志連合の空爆に参加する等の軍事的オプションを指すのではなくて、あくまでも警察が捜査して日本人殺害犯に法の裁きを受けさせる趣旨と説明していた。

 (Q.今後、日本政府が直面する課題は?)

 -日本政府にとっても過去にない対応が必要になってくる。まずは再発防止。「イスラム国」の関係者がいてもおかしくない外国における日本人の安全管理が第一。ある関係者は「『イスラム国』が日本を今後も攻める価値ありと思ったら危険だ」と警鐘を鳴らした。そして、情報面でも政府機関を通じた情報収集だけでなく、民間にもウイングを広げた独自のチャンネルの開拓が必要との指摘がある。一方で、日本はテロの脅威と直接戦うアメリカやイギリスとは違う立場。日本があくまで「非軍事」の人道支援の立場を貫き何ができるか。また、「非軍事」の貢献をどう国際社会にアピールするか探っていく必要がある。