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外交記録公開 佐藤首相演説が米要請で変更

2015年1月15日 13:14
外交記録公開 佐藤首相演説が米要請で変更

 日本とアメリカとの交渉の舞台裏などが記された外交記録が公開され、50年前に沖縄で行われた当時の佐藤栄作首相の演説内容がアメリカ側の要請で直前に変更されていた事が分かった。

 記録によると、沖縄が日本に返還される前の1965年、佐藤首相が戦後、首相として初めて沖縄を訪問するのを前に日本側が演説の案文を示したところ、アメリカ側が「沖縄が日本の防衛にとって重要であるとの認識を首相が述べられる事を強く希望する」などと伝えてきた。

 日本側はいったんは「佐藤首相の決裁を得たものであり、変更は困難」と返答したが、訪問の前日になってアメリカ側は再度、「沖縄に関する日米協力関係に障害がありうる」などと演説内容を変更するよう、要請してきた。このため、日本側は急きょ、「極東における平和と安定のために、沖縄が果たしている役割はきわめて重要」などの文章を演説に盛り込んだという。

 記録ではまた、1970年当時の中曽根防衛庁長官がアメリカのレアード国防長官に対し、有事の際、日本への核持ち込みを容認する考えを示唆していた事も分かった。中曽根長官は「米国の核兵器の(日本への)導入については留保しておいた方がよいと思う」と述べたという。

 この発言について中曽根氏の事務所は「『緊急事態に核の持ち込みはあり得る。米国の行動の自由はある程度留保して、取ってやらないといけない』との趣旨だった」とコメントしている。

 公開された外交記録のファイルは41冊に上る。15日から都内にある外交史料館で一般に公開されている。