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2015年 与党の課題

2015年1月3日 23:50

 2015年、与党である自民・公明両党の課題は首相官邸主導の政治力学の中で、存在感を示せるかどうかだ。

 与党は先月行われた衆議院選挙で326議席を獲得し、国会で3分の2を超える勢力を維持した。しかし、多くの自民党議員が「向かい風は感じなかったが、追い風もなかった」と口をそろえる他、安倍政権のある閣僚は「野党が弱すぎた。自民党への消極的支持だ」と選挙結果を分析している。実際、日本テレビが衆院選後に行った世論調査では「自民党政権の2年間はうまくいっていると思うか」との質問に対し、「思わない」との回答が6割近くに上っている。安倍政権が「一強多弱」の数の力を背景に、強引な政権運営を行えば、国民の支持は一気に揺らぎかねない。

 ■集団的自衛権
 「経済最優先」を掲げる安倍政権だが、今月下旬に召集される通常国会では安全保障が最大のテーマとなりそうだ。政府は4月に行われる統一地方選挙の後に集団的自衛権を含む安全保障法制の関連法案を国会に提出する方針。自民・公明両党は年明けから与党協議を再開させ、法案の具体的中身について詰めの作業を行う。国民の理解が深まっていないテーマだけに与党として国会の場でオープンな議論を尽くし、野党の意見にも耳を傾けながらの丁寧な国会運営が求められる。

 ■自民党総裁選挙
 一方、9月には自民党総裁選挙が行われる。安倍首相は衆院選後の記者会見で、「我が党には雲霞(うんか)のごとく将来の総裁候補がたくさんおられる」と述べた。しかし、党内では衆議院選挙の圧勝で求心力が高まったとして、安倍首相の再選が有力視されている。ポスト安倍の一人と目される石破地方創生相は「閣僚の間は出ない」と周辺に語り、総裁選出馬を見送る意向を示している。安倍首相は派閥領袖ら党内の有力者を閣僚や党幹部で処遇するなどして、再選に向け着々と足場を固めている。

 ■憲法改正
 安倍首相としては9月の総裁選を乗り切れば、2018年までの長期政権が視野に入る。第3次安倍内閣発足後の記者会見では「歴史的なチャレンジ」だとして、憲法改正に改めて強い意欲を見せた。

 ■「政高党低」で与党の存在感を
 こうした中、かつて自民党総裁を経験した党ナンバー2の谷垣幹事長は「楕円(だえん)の理論」に度々言及している。党の中心は一つではなく、党内には多様な意見があって良いとするものだ。政策決定を主導する官邸側に対し、必要に応じて党側からモノが言えるかどうか、“政高党低”と評される中でその存在意義が問われる。「一強多弱」に潜む落とし穴はないのか。谷垣幹事長は「謙虚に脇を締め、腰を落として前に進むことが大切だ」と指摘している。